NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○輸出価格の高値の中、伸びる乳製品生産


チーズを除く主要乳製品で過去最高を記録

 ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)によると、2000/01年度(6〜
5月)の乳製品生産は、チーズを除く主要乳製品で過去最高を記録するという好
調な結果となった。乳製品別に見ると、前年度から大きな伸びを見せたのが全粉
乳で19.2%増の44万4,372トン、次いで脱脂粉乳が17.5%増の26万6,594トン、
バターが11.6%増の39万1,135トンとなった。これに対してチーズの生産量は、
前年度比4.5%減の25万3,608トンとなった。

◇図:乳製品生産量の推移◇


乳製品輸出価格の高値が増産の要因

 このように粉乳を中心とした乳製品が増産となった要因は、生乳生産の増加お
よびNZドル安の為替環境、EUの脱脂粉乳輸出補助金が引き下げられてゼロになっ
たことおよび米国の生乳生産量が予測されていたものよりも少なかったことなど
を背景に、NZの乳製品輸出価格が上昇し生産を刺激したことが挙げられる。

 NZの業界紙によると、脱脂粉乳の輸出価格(FOB価格)は、2000年7月以降、
これまで乳製品の中で比較的輸出価格の高かったチーズを上回り、前年同月比37
.1%高となっている。全粉乳の輸出価格についても、2000年5月から2001年2月
までの間、チーズの輸出価格を上回っており、2001年6月は前年同月比26.7%高
となっている。

 その一方で、2000/01年度の生産量が前年度を下回ったチーズについても、20
01年6月の輸出価格が前年同月比35.4%高と高値になっている。このことからチ
ーズへの需要が弱いということではなく、より需要の強い粉乳の生産に生乳が仕
向けられている実態が見てとれる。

◇図:乳製品輸出価格の推移◇


MAFではヨーロッパでのBSEや口蹄疫の影響が大との見方

 NZ農林省(MAF)が、農家経営の調査報告の中で2000/01年度の酪農家の総収
入が増加した要因として挙げているのは、乳製品の国際価格の高値に伴う生産者
乳価の上昇である。国際乳製品価格が上昇したのは、ヨーロッパを中心に発生し
た牛海綿状脳症(BSE)や口蹄疫の影響が大きいとしている。チーズの国際価格
については、99/2000年には8年ぶりの低い水準となったものの、2000/01年
度には回復しており、ヨーロッパの消費者が牛肉の代わりとしてたんぱく質の代
替需要を強めたことにより価格が上昇したとの見方を示している。また、粉乳へ
の需要が強まり国際価格が上昇したのは、通常はEUから購入していた輸入国がNZ
産へ変更したことが要因と見ている。

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