◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2001年1〜6月の全米の生乳生産量は3,807万1 千トンで、過去最高を記録した前年同期(3,892万7千トン)に比べ2.2%の減と なった。カリフォルニア、アイダホなど主要20州の生産量も、前年同期比2.0% 減の3,283万7千トンとなった。このうち、生乳生産の約7割を占める上位10州 について見ると、カリフォルニア、アイダホおよびニューメキシコ州を除きいず れも減少しており、このところ経産牛頭数の減少が続いているテキサス州では13 .0%減となった。 ◇図:上位10州の生乳生産増減率 (2001年/2000年:上半期)◇
生乳生産量減少の主要因は、経産牛頭数と1頭当たり乳量がいずれも減少した ことにあるとされる。2001年上半期(1〜6月)の平均経産牛頭数は、前年同期 比0.7%減の914万頭、この期間の1頭当たり乳量も1.6%減の4,165s/頭(1 日当たり約23.0s/頭)となっている。 特に1頭当たり乳量の減少は、今冬の記録的な大寒波の影響などにより、経産 牛に大きなストレスが付与されたことに加え、粗飼料供給が量・質ともに低下し たこと、2000年後半まで続いた生乳価格の低迷により、収益性の悪化した生産者 が、コスト低減の見地から、乳量増加作用を持つ牛ソマトトロピン(bST)の投 与を控えたことなどによるとされている。 こうした一方、西部のカリフォルニア、アイダホ州など合理的な飼養管理を行 う大規模経営の多い州では、経産牛頭数および1頭当たり乳量がいずれも増加も しくは前年同期並みにとどまっており、生乳生産量もこれと同様の傾向を示して いる。
2000年12月になって2年2ヵ月ぶりに前年水準を上回った生乳価格は、生乳生 産量の減少に伴い、2001年3月以降連続して上昇している。6月には前年同月比 30.9%高の100ポンド当たり16.10ドル(1s当たり約44.7円:1ドル=126円) まで上昇し、99年1月以来2年5ヵ月ぶりに16ドル(1s当たり約44.4円)台を 記録した。2001年7月も前年同月比29.4%高、前月比で1.2%高の16.30ドル(1 s当たり約45.3円:USDA推計値)となり、2ヵ月連続で16ドル台の水準となった。 USDAでは、生乳生産が前年を上回るのは今年秋ごろとみており、2001年通年で は、前年比1%前後減少するとの予測を立てている。また、業界団体では、生乳の 供給減により需給がひっ迫した状況は、来春まで続くとする見方もある。
元のページに戻る