ブラジルの牛肉輸出、2001年1−4月期は大幅増


生鮮肉が前年比55%増と大幅に増加

 ブラジルの2000年の牛肉輸出量(生鮮肉と加工肉の枝肉換算値の合計)は55万
4千トン、前年比2.4%の増加で、99年に比べ、減少した加工肉の輸出を生鮮肉
が埋め合わせた。こうした中で、ブラジルの2001年1−4月期の牛肉輸出量(枝
肉ベース)は、加工肉が約9万9千トンと前年同期比‐0.12%微減したが、生鮮
肉が10万6千トンと前年同期比55%の大幅増となり、輸出金額も約1億8千万ド
ルと過去に例のない伸びとなった。生鮮肉輸出の太宗を占める骨なし生鮮肉の、
チリ、イギリス、サウジアラビア、エジプト、イランへの輸出が顕著に増加した
のがこの期の特徴である。


世界的な口蹄疫発生等によりブラジル産輸出が優位

 最近の、ブラジル産食肉の輸出増加の背景には以下の理由が考えられている。

@ 牛海綿状脳症(BSE)問題と口蹄疫の発生で、EU域内産生鮮牛肉の消費が控
 えられ、輸入品にシフトし、南米が重要な供給地域となったこと、さらにアル
 ゼンチン、ウルグアイでも口蹄疫が発生したため、ブラジルが供給国として優
 位に立ったこと。
A 従来EU産食肉を輸入していた国々が家畜衛生の観点から輸入を規制したため、
 ブラジル産食肉にシフトしたこと。

B 隣国アルゼンチン経済の不振などの影響で2001年に入りブラジル通貨レアル
 安が続いていた結果、食肉の輸出価格が下がったこと。(特にサウジアラビア、
 エジプト、イランなど中東への輸出が増加している。)

C 2000年に口蹄疫ワクチン接種清浄地域に認定された1連邦地区と南・中西部
 5州に続き、2001年は東部畜産圏の6州が同じステイタスを認定され、清浄地
 域で飼養される牛が、総飼養頭数の85%を占めるに至り、家畜衛生に対する対
 外的な信用と国内食肉産業の輸出に向けてのインセンティブが高まったこと。

 こうした上向き要素に加え、ブラジルの畜産界は、2001年は、家畜飼養頭数が
増加し、生産性の向上とあいまって食肉生産が増え、輸出余力も高まると期待し
ている。


操業短縮等不安要素も存在

 しかし、不安要素もないわけではない。リオグランデドスル州で発生している
口蹄疫は21件と報道され、未だに終息宣言はなされておらず、輸出規制の対象を
同州のみとする方向でEU,ロシア、サウジアラビアと輸出解禁交渉が進展してい
るが、一方で、中国がブラジル産食肉を一時的に禁輸した。これは、WTO加盟に
向けて今までの二国間協定などを見直すためといわれている。

 こうした輸出に係る問題に加え、国内では、電力を水力発電に依存しているた
め、降雨不足から電力不足が深刻となっており、食肉処理加工部門などの操業短
縮なども懸念されている。

元のページに戻る