◇絵でみる需給動向◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2001年の生体牛輸出は、 前年比7.8%減の82万6,274頭となった。生体牛輸出が前年比で減少し たのはアジア経済危機の影響を受けた97年以来のことである。98年以降は 3年連続で増加していたものの、豪州国内の肉牛価格の高騰や主要な輸出先で ある東南アジアの通貨が安値となったことなどから、2001年の生体牛輸出 は減少することとなった。 ◇図:生体牛輸出頭数の推移◇
輸出相手国別にみると、東南アジア(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、 フィリピン)が全体の58.6%を占め、主要な輸出先となっている。このこと は従来と変わりないものの、2000年の66.6%と比較すると東南アジア地 域への輸出シェアは減少している。最大の輸出相手国となったのは、インドネ シアで28万8,922頭と前年比2.6%減とわずかに減少した。また、20 00年には2番目の輸出相手国であったフィリピンが前年比56.4%減の9万 7,611頭と大きく落ち込んだ。これは、両国の経済状況の低迷による自国 通貨の安値から、輸入に不利な状況となっていることが減少の要因と考えられ る。 さらに、2001年の2番目の輸出市場となったエジプトでも前年比1.4% 減の20万4,633頭とわずかながらも減少しており、主要な輸出相手国は軒 並み減少している。全体として生体牛輸出が減少した要因は、豪州国内における 肉牛価格の高値が影響しているとみられている。 その一方で、増加しているのが中東である。中東は全体に占めるシェアは10 .5%と東南アジアと比べると大きくないものの一貫した増加を示しており、2 001年も前年比39.7%増と大きく増加した。
MLAが発表した短期需給見通しによると、2002年の生体牛輸出は、前年比 15.0%増の95万頭で、過去最高になると予測している。この予測では、2 001年に減少を見せた東南アジアが、2002年には増加するとしている。増 加予測の理由としては、肉牛価格が落ち着きを見せ始めていることや主要輸出相 手国であるインドネシア、フィリピンの通貨価値が回復すると見込んでいるため である。しかし一方で、欧州からの生体牛および牛肉輸出解禁の動向や中近東諸 国に影響の大きい南米からの牛肉輸出などが豪州の生体牛輸出に強い影響を与え るとみている。為替の動向など輸出相手国の経済状況による影響が大きいだけに、 見通しは不透明であると言える。MLAの予測どおり好調な輸出となるかどうか、 今後に注目したい。
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