◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2001年の牛肉輸出量(枝肉重量ベース) は、史上最高を記録した前年に比べ、8.0%減の103万トンとなった。輸出 量は、85年以降ほぼ一貫して増加傾向にあったが、2001年は93年以来8 年ぶりの前年割れとなった。 輸出国別で見ると、シェア44%を占める最大の市場である日本は、景気の低 迷に加え、牛海綿状脳症(BSE)の発生による消費者の牛肉離れで需要が大きく 低迷したことから前年比9.7%減の45万6千トンとなった。第3位の韓国 (シェア15%)および第4位のカナダ(シェア10%)は、それぞれ前年比1 1.2%減の15万7千トン、同8.1%減の10万6千トンと景気の後退や為替 安などから前年水準を下回った。第2位のメキシコ(シェア23%)が中所得者 層以上の需要増などから前年比3.1%増の24万1千トンと主要輸出相手国の 中で唯一前年を上回った。 ◇図:牛肉の国別輸出量◇
一方、2001年の牛肉輸入量は、牛肉価格の上昇や国内の強い需要などから、 過去最高の水準を記録した前年をさらに上回り、前年比4.3%増の143万4 千トンとなった。 総輸入量のうち36.4%のシェアを占める豪州および同20.2%のニュージ ーランドからの2001年の輸入量は、それぞれ前年比12.3%増の52万3 千トン、同0.2%減の28万9千トンとなった。豪州については、為替レート により価格競争力が向上したことから大幅に数量を伸ばしたと見られる。また、 アルゼンチンおよびウルグアイでは2001年3月および4月にそれぞれ口蹄疫 問題が発生し、輸入が一時停止したことから、アルゼンチンが前年比24.2% 減の4万5千トン、ウルグアイが同35.7%減の1万8千トンと前年を大幅に 下回った。 ◇図:国別牛肉輸入シェア(2001年)◇
2002年の見通しについて、USDAでは、輸出は、前年比3.6%減の99万 3千トンと5年ぶりに百万トン台を下回るものと予測している。カナダや韓国向 けは堅調な需要が見込まれるものの、日本向けについては、景気低迷やドル高な どにより、消費者の需要は低価格の豪州産に向くと見られることから早急な回復 はないものと見込まれている。一方、輸入については、堅調な需要が見込まれる ことから、前年比2.6%増の147万2千トンとなるものと見込んでいる。
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