米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


2001年のブロイラー輸出は対ロ輸出拡大で大幅増


2001年は前年比14.7%増

 米農務省(USDA)によると、2001年のブロイラー輸出量(可食処理ベ
ース)は、前年比14.7%増の280万6千トンとなり、5年ぶりに2桁の伸
びを記録した。中でもロシア向けは、前年比82.6%増の104万5千トンと
100万トン台に達した。これは、米国のブロイラー生産量の7.4%にあたり、
ロシア国内消費量の61%を占めるとされている。その他の輸出国については、
第2位の香港が前年比2%減の60万1千トンとなったほかは、メキシコ、カナ
ダ等いずれも堅調な国内需要から前年を上回った。

◇図:国別ブロイラー輸出量◇


ロシア向け輸出は国内価格への影響大

 国内生産量に占める輸出量の割合が増大する中、ロシア市場のシェアは、94
年以降常に約3割を超え、米国内の卸売価格も強含みで推移してきた。しかし、
98年8月のルーブル切り下げによる経済混乱を受け、対ロ輸出が激減すると、
卸売価格は大部分の部位で急落した。価格は、99年5月以降、好調な香港向け
輸出などから回復傾向にあったが、大幅な上昇とはならなかった。これは、香港
向けがモミジ中心なのに対し、ロシア向けはもも肉であることから、国内価格へ
の影響がロシアへの需要に比べ小さいためとみられる。このような事情から、ロ
シアへの輸出増などに伴い、2001年の国内価格は強含みで推移した。

◇図:輸出量と価格の推移◇


2002年も引き続き高水準の輸出見込み

 ブロイラー輸出は85年以降、一貫して増加を続けてきた。今後の輸入国の経
済状況やブラジルなどの主要なブロイラー輸出国との競合にもよるが、USDAでは、
国内生産の増加に加え、ロシア、中国及びメキシコなどの輸出先の需要が堅調で
あることから、2002年の米国の輸出量は、前年比2.8%増の288万トン
で2001年に比べ伸び率は鈍化するものの、引き続き高水準と見ている。この
影響で国内価格も引き続き強含みで推移すると見込まれる。しかし、一方で、ロ
シアの衛生当局は米国における生産段階での安全性に問題があるとして、米国か
らのブロイラー輸出を3月10日から一時的に停止すると発表しており、これに
よる国内価格への影響も懸念されている。

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