イギリス食品基準庁、食品衛生キャンペーンを開始
第1段階ではケータリング部門を対象
イギリス食品基準庁(FSA: Food Standards Agency)は2月11日から、食中
毒の発生件数を減らすための食品衛生キャンペーンを開始した。第1段階(4月
28日まで)では、レストラン、カフェ、持ち帰り用食品販売店、ファストフード
店などケータリング(配膳)部門の従業員を主な対象に、「食品安全はあなたの
責任(For safer food and better business
‐Food safety, It’s in your hands.)」とのメッセージをテレビ、ラジオ、
印刷物を通じて流すとともに、@常に手を洗って清潔に保つこと、A食品の複合
汚染の防止、B適正な食品の冷蔵、C食品の適正な調理、などについて注意を喚
起している。このキャンペーン全体の実施予定期間は5年間で、予算総額は2千
万ポンド(約38億2千万円:1ポンド=191円)を予定し、2006年までに食中毒
発生件数を20%減少させることを目標としている。
消費者の調査結果でもキャンペーンの必要性を裏付け
また、FSAは2月11日、消費者3,120人に対し2001年10〜12月に面談実施
した消費者動向調査の結果を公表した。その概要については以下の通りであるが、
今回実施されたキャンペーンの必要性を裏付けるものとなっている。
・過去1年間に、消費者の12%が食中毒となり、そのうちの約4分の3が家庭
外で調理された食品が食中毒の原因と考えていた。
・消費者の過半(51%)数が、ケータリング店舗の衛生基準に関心を持っていた。
この比率は、前年(2000年)の調査結果(42%)に比べ上昇傾向にある。
・食品販売店で販売された食品を通して不快な体験をした消費者の6割は、当該
食品販売店を2度と利用しなかった。
・消費者の約4分の3(72%)は、店舗、従業員、厨房の清潔さに関心を持って
いた。
・消費者の3分の1は複合汚染に関心を持っていた。
・(屋台など)移動型店舗に対する衛生基準への関心割合は、2000年の18%から
2001年には29%と高くなった。
・食中毒の多くは報告されておらず、報告されたのはわずか24%に過ぎなかった。
食中毒のうち14%が一般医にかかり、7%が食品を購入した店へ報告しているが、
地方の環境衛生部局などへの報告者は2%のみだった。
・食に対する消費者の関心事項の第1位(59%)は、サルモネラ菌などの食中毒
であった。なお、その他関心割合については、牛海綿状脳症(BSE):55%、家
畜飼料:50%、殺虫剤:50%、食用家畜の飼養状況:43%、遺伝子組み換え
(GM)食品:38%などであった。
最高の衛生水準到達には、業界の協力が不可欠
今回の調査結果についてFSAのクレブス委員長は、「消費者動向調査により食
中毒件数は依然受け入れがたいほど多いことが明らかになった。消費者はケータ
リング業界が衛生基準を引き上げることを期待するとともに、不衛生な店には2
度と行きたくないとしている。本キャンペーンに対するケータリング業界の支持
を期待しているが、多くの店舗ではすでに高い衛生水準にあることは理解してい
る。しかし、FSAは、業界との協力によりすべての店舗を最高の衛生水準にまで
引き上げなければならない。」とコメントした。なお、イギリスの食品業におけ
る最大の雇用者はケータリング部門である。同国には37万のケータリング業者が
存在し、約200万人を雇用している。また、2001年7月に公表された食品安全法
関連統計によれば、118,555のレストランなどのケータリング店舗で何らかの食
品規則違反が見つかっている。
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