豪州酪農庁、日本向けチーズの輸出専売機能を廃止


日本向け脱脂粉乳、バターについては今後検討

 豪州酪農庁(ADC)は3月1日、日本向けチーズの輸出専売機能を、今年6
月30日をもって廃止すると発表した。これは、6ヵ月にわたる酪農乳業界によ
る検討を経て、ADCの委員会が決定し、豪州酪農評議会(ADIC)と豪州乳製品組
合(ADPF)により合意されたものである。ADCによると、今回発表された輸出専
売機能の廃止は、日本向けの加工用チーズに限られ、そのほか、現在ADCによる
輸出専売が行われている日本向け脱脂粉乳、バター、EU向けチーズについては、
今後検討するとされている。

 ADCの専売機能については、かねてより、組合系乳製品大手メーカーのマレー
ゴールバンなどが自社製品の直接販売を阻害するとして、その撤廃を求める強い
働きかけがあったとされている。ADCのマードック取締役は、今回の専売機能の
一部撤廃発表に当たり、「輸出専売機能は、過去10年間で日本における豪州産チ
ーズの市場拡大に大きく貢献してきた。また、この間にそれぞれの乳業メーカー
も成長し、自主的に販売して行く力がついた。」と述べるとともに、専売機能廃
止が円滑に行えるように業界をサポートする旨を付け加えている。一方、豪州の
生乳生産量の約60%を供給するビクトリア州の酪農生産者団体は、ADCの輸出専
売機能が廃止されても生産には何の影響もなく、国際市場に対し豪州の酪農乳業
の自信を改めて示すことになると、この発表を歓迎している。


業界3団体の統合・再編も計画

 豪州では、2000年7月1日から行われている酪農乳業制度改革の一環とし
て、業界団体の再構築が折り込まれており、ADICは、2000年12月に行われた年次
総会において、ADIC、ADCおよび豪州酪農研究開発公社(DRDC)の3団体を統合
し、デイリー・オーストラリア(DA)と呼ばれる新団体の設立構想を発表してい
る。また、その後昨年12月の年次総会では、業界内の合意がなされたとして、AD
ICから連邦政府に対して統合計画が提出され、本年中の実現が計画されている。

 ADICは、酪農家と乳業メーカー、乳製品流通業者の代表からなる46人の代表者
と5人の常勤職員メンバーによって構成され、連邦政府から独立した酪農乳業の
産業政策の最高決定機関である。ADCは、農林水産漁業省所管の法律に基づき設
立された特殊法人で乳製品の売買、ADICの策定した国内外の政策の実施、情報収
集提供などを行っており、総員は80名。DRDCは豪州連邦政府の基金と酪農乳業産
業からの課徴金により活動する研究開発機関であり総員20名、豪州酪農生産者組
合(ADFF)や豪州乳製品組合(ADPF)と連携を取りつつ活動している。したがっ
てADCとDRDCはADICの政策の執行、調査機関的な位置付けとなっているが、再編
成後の事業内容等の詳細は、現時点では公表されていない。豪州の酪農乳業改革
は、飲用乳向け乳価の撤廃など生産段階での規制緩和をすでに終え、酪農乳業団
体の機能見直し、さらにその再編へと新たな段階に入っている。

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