ブッシュ大統領を迎えたNCBA年次総会(米国)


上院での次期農業法審議が大詰めを迎える中、現役大統領が初出席

 全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は2月6日から9日の間、コロラド州
デンバーで年次総会を開催した。今回のハイライトの一つは、NCBAの前身時代を
含めた104年の歴史の中で、初めて現役の大統領が出席したことで、ブッシュ大
統領は肉牛生産者を前に、上院での審議で大詰めを迎えつつあった(2月13日に
通過)次期農業法案などに関して演説を行った。

 ブッシュ大統領はこの中で、肉牛生産者の連邦政府に依存しない姿勢について
高く評価したほか、米国が純輸出国として他国に食肉の供給を依存しなくて良い
状況にあることに感謝の意を示した。これに続いて同大統領は、次期農業法案に
対する行政側の要望について、@潤沢な予算を確保すること。ただし、同法案の
実施期間において、ほぼ均衡に配分すること、A過剰生産をもたらすことのない
セーフティネット機能を確保すること、B貿易の拡大につながること、Cグラス
リー上院議員(共和党・アイオワ州)が提唱しているような農家積立口座をリス
ク管理手段として導入すること、などの点を改めて説明した。


原産地表示義務化反対など今後の運動方針を決定

 NCBAは総会中、今後の農業政策に関する運動方針を定めた。このうち、牛
肉の原産地表示の義務化については、前年の総会ではこれを支持するとしていた
ものの、今年は、州レベルの団体からの反対により、業界の自主的な表示を支持
することに変更された。このほか、@水資源の権利を連邦政府の管轄下に置くな
どの立法措置には断固反対すること、A生体牛の売買に関して、パッカーの集中
化が不公正な取引につながっていないかどうかを見極めるため、牛肉業界の様々
な部門の出身者から構成される監視委員会の設置を議会に働きかけること、B年
末に予定されている、水質保全を目的とした大規模畜産経営体(CAFO)への環境
規制の最終規則公表に向けて、関連省庁との連絡を密にするとともに、規制の枠
内に収める技術の利用が可能となるよう研究を進めること、などが決定された。

 また、今後展開される販売促進活動については、将来「母親」として、家族の
食事を担う10歳前後の女児に焦点を絞ったキャンペーンを実施することが発表さ
れた。例えば、4月から行われる広告キャンペーンでは、ソルトレークシティ五
輪・フィギュアスケートの米国代表であるサシャ・コーエンを起用し、牛肉が健
康的な食事の一端を担うことを「J‐14」、「Girls’Life」などのティーン向け
雑誌上で訴求する予定となっている。


チェックオフ制度は68%が支持

 こうした活動は、肉牛の取引時などに肉牛生産者などから課徴金を徴収するチ
ェックオフ制度に基づくものであるが、現在サウスダコタ州の連邦地方裁判所で、
その是非について、引き続き審理が行われている。今回発表された肉牛生産者へ
の第三者調査によれば、68%が同制度を支持、20%が不支持との結果であった。
また、72%がチェックオフ制度は豚肉や家きん肉との競争上、役に立っていると
答えている。一方、チェックオフ制度に関する情報提供について、十分または多
少得ていると回答した人が61%、得ていないなどと回答した人が39%に上った。

 今回の年次総会では、NCBAの新会長にアイオワ州の肉牛生産者であるウィス・
ウィリー氏が就任し、次期会長としてアイダホ州の肉牛生産者であるエリック・
デイビス氏が選出された。

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