EUの牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2001年を底に回復が見込まれるEUの牛肉消費



●●●総じて減少した2001年の主要国牛肉消費量 ●●●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、EUにおける2001年の牛肉消費量は前
年比7%減の665万7千トンとなった。牛海綿状脳症(BSE)口蹄疫などの家畜疾病の
発生による消費者不安の影響から2年連続でかなりの程度減少することとなった。E
Uにおける牛肉消費は、2000年後半から、2001年前半にかけて減少したが、それ以
降はわずかながらも回復の兆しを見せていた。MLCが前回(2001年12月)予測して
いた前年比10%の減少と比べると、実際の減少率は小さいものとなった。

 2001年の牛肉消費動向を国別に見ると、減少率が最大であったドイツにおける消
費は、2000年11月に発生したBSEの影響により、前年比19%減と大幅な減少を示した。
2001年4月の消費量は前年同月比40%減を記録しており、年初めに比べて後半には持
ち直してきたものの、依然として消費の落ち込みは続いている。2001年の同国にお
ける牛肉の1人当たりの消費量は、初めて鶏肉を下回った。また、イタリアでは、2
001年後半から回復してきており、前年比10%減となったものの、当初の予測よりも
減少幅は少なかったとしている。EUの最大の牛肉消費国であるフランスでも回復し
てきており、前年比1%減となった。牛肉の中では、安値であったドイツ産と口蹄疫
やBSEの影響により輸出禁止となっていた国産牛肉の消費が目立っている。イギリス
においては、牛肉生産量の減少に伴い、前年比3%の減少となった。牛肉だけでなく、
口蹄疫の発生やメディアによる報道の影響で、羊肉、豚肉の消費も減少したが、報
道の沈静化に伴い、消費は回復していった。

 主要国の牛肉消費量

 
 

●●●増加に転じる2002年の牛肉消費量 ●●●

 2001年の牛肉消費量はかなりの減少を示したが、MLCは、2002年には、EU15ヵ国の
合計で前年比9%増の723万6千トンにまで回復すると予測している。牛肉の供給が増
加することから価格が下落し、これが需要の回復を支えるとみている。

 2002年の牛肉の消費量は、主要生産国すべてで前年より増加することが予測され
ている。ドイツの消費量は、生産量と輸入量の増加、さらに介入在庫の放出により
供給量の増加が予測されるため、前年比18%の増加が予測されている。また、イタ
リアの消費量は、2002年後半から2003年初めにはかなりの水準への回復が見込まれ
る。消費者が好む国産牛肉の生産の増加が消費増加を後押しするとみており、さら
に、消費者が牛肉を選択する上では、原産地などの情報の表示が重要になるとみて
いる。フランスでは、牛肉生産の増加による価格の低下により、国産牛肉を中心と
して前年比6%の消費増加が予測されている。イギリスにおいても、南米産牛肉の口
蹄疫による輸入禁止措置の解禁やスペイン、フランス、ドイツおよびアイルランド
などの介入在庫の放出により供給が増えることから、わずかに増加するとみている。




元のページに戻る