◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、6月1日現在の全国における1千頭規模以上のフィード ロット飼養頭数は、5月に引き続いて前月割れとなり、前年同月比2.7%減の1,094万 頭となった。 米国では、西部の山岳区から大平原にかけての一帯、東海岸の南部といった諸州 を中心に干ばつが広がっており、今後さらに事態が深刻化することも懸念されてい る。(本誌トピックス参照。)これら肉用牛の放牧が盛んな地帯では、放牧を継続 できずフィードロットへの導入が増加しているとみられ、5月の1ヵ月間におけるフ ィードロット搬入頭数は、前月比53.3%増の222万7千頭となった。体重別で見ると、 干ばつにより更新用未経産牛が肥育に仕向けられ、多く導入されているとみられる ことから、800ポンド(約363kg)以上が増加しており、前年同月比46.8%増となっ ている。体重の重い牛の導入が増加したことから、今後の牛枝肉供給量の増加が見 込まれる。一方、フィードロットからの出荷頭数は、前月比8.5%増の216万6千頭と なった。 ◇図:フィ−ドロットへの導入頭数◇
上半期(1〜6月)のと畜頭数はほぼ前年同期並みとなっているが、1頭当たり枝 肉重量が2001年9月以降前年同月を上回っていることが牛肉生産量の増加の一因と なっているとみられる。今後、夏にかけてトウモロコシなどの飼料の生育状況が引 き続き悪化するようであれば、生産者は冬場の粗飼料の供給不足を懸念して牛群の 飼養規模を抑えるため、と畜頭数は前年に比べ増加するものと見込まれる。 ◇図:枝肉重量の推移◇
肥育牛価格は、2001年10月以降、一貫して前年同月を下回って推移している。毎 年6月前後は、季節的にと畜頭数と枝肉重量が増加する一方で、需要が減少する時期 であることから、価格が下落する傾向にある。これに加え、輸出向け需要の減退や生 産量の増加、さらには他の食肉との競合を反映して、6月の肥育牛価格(去勢牛、チ ョイス級、生体重量1,100〜1,300ポンド、ネブラスカ州)は前年同月比12.6%安の 64.5ドル/100ポンド(約172円/kg:1ドル=121円)と依然として弱含みの相場と なった。 USDAの見通しでも、2002年平均は67〜69ドル/100ポンド(約179〜184円/kg)と 前年(72.71ドル/100ポンド:約194円/kg)をかなり下回る水準となることが予想 されている。こうした状況から、国内の生産者団体は、価格低迷の原因究明のため の調査を要請している。(本誌トピックス参照)。
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