ワシントン駐在員事務所 渡辺裕一郎、道免昭仁
ひとくちMemo 6 月 6 〜 8 日の 3 日間、米国最大の養豚経営者団体である全国豚肉生産 者協議会(NPPC:会員数 8 万 5 千人)の主催によるワールド・ポーク・エク スポ(世界豚肉博覧会)が、アイオワ州デモインで開催された。昨年は、欧州 を中心に猛威を振るった口蹄疫の侵入防止のため開催が見送られたことから、 今回は 2 年振り、通算14回目の開催となった。 生産から処理、加工、流通、消費に至るまでの豚肉関連の単独のイベントと しては世界最大規模を誇り、今回も、最新の関連機械・資材などの展示会(ト レード・ショウ)、消費者や生産者などを対象とした知識普及のための各種セ ミナー、純粋種豚のオークション、豚肉の無料試食会など、盛り沢山の催しが 行われ、延べ約 4 万人の来場者でにぎわった。
今回の目玉は、6月7日に会場となったステー・フェア・グラウンド内の4Hク ラブの展示場で行われたブッシュ大統領の演説会であろう。入場に際しては、 セキュリティ・チェックの後に星条旗の小旗が各人に手渡された。そこで待つ こと2時間余り、熱気に包まれた約4千人の聴衆の前に、唐突なファンファーレ とともにやっと姿を見せた大統領は、約30分に及んで熱弁を振るい、何回も場 内を大いに沸かせた(演説の概要は、本誌「海外トピックス」欄を参照)。 |
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スピーチ終了後、大統領は、ステージの 下で詰め寄った聴衆と20分程度言葉を交わ し、それから会場裏のテントの中で支持者 らと豚肉のバーベキューのランチを約30分 間楽しんでから会場を後にしたという。 |
エクスポの会場で配布されていた帽子と、 表紙に「フレー!赤・白・青(星条旗のこと )」と書かれたパンフレット。 「もう一つのホワイト・ミート(The Othe r White Meat)」というキャッチ・コピーに もあるように、「白」の文字の代わりに豚肉 (ロイン・チョップ・ステーキ)があしらわ れている。真中は、会場で配られた大統領演 説会の入場整理券の半券。米国人にとっては スポーツ観戦と同じような「大統領見物」と いう表現がぴったりかも。 |
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展示会(トレード・ショウ)には、内外から過去最高の500社近くが参加。各 ブースには、飼養管理用の機械・器具から、遺伝子(種豚)、飼料添加物、果 ては各種サービスに至る多様な関連商品が展示され、いたるところで商談も交 わされていた。屋外では、トレーラー(約250頭積載)や大型機械も展示。 |
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屋外では、トレーラー(約250頭積載)や大型機械も展示。これは、容量 7,400ガロン(約30キロリットル)の巨大スラリータンクとインジェクター。 |
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販売金額の0.45%の賦課金を原資とする豚肉チェックオフ事業による需要増 進、調査、技術や知識の普及などの広範な取り組みも紹介。この一環で、当日 は、コンテストに入賞した調理済み新製品試食コーナーなどの消費者向けブー スのほか、生産者を対象にしセミナーの開催や相談窓口の開設なども実施され た。 |
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セミナーや相談窓口のテーマは、衛生管理、環境保全、動物福祉など、養豚 農家の関心の高い問題が中心。 |
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「ポーク101」(豚肉入門講座)のコーナーでは、PSE(むれ肉)や、瑕疵、 発色の異なる肉などのサンプルが実際に展示され、それぞれの発生原因などに ついて説明を受けることができる。これもチェックオフ事業によるもの。 |
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全国種豚登録協会(National Swine R egistry)主催のブリード・ショウに出品 される純粋種の種雄豚の係留場(左デュロ ック種、右ハンプシャー種)。 |
場内ではちょうど、ヨークシャー種とラ ンドレース種の種豚のビデオ・オークショ ンも開催されていた。 |
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入場者に無料で振舞われた豚肉バーベキューの会場では、どちらかというと イノシシに近い形のバーベキュー・コンロもお目見え。右は、テンダーライズ された豚ヒレ肉のバーベキュー。ここでは、それをパンではさんで約4.75ドル (約570円)で販売していた。 |
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今年が7回目の「ピッグ・カソ(Pig-Cass o)」と呼ばれるアート・ショウ。養豚農家 からの出展を含む約40点の豚を題材にした絵 画やコラージュなどの芸術作品が展示されて いた。来場者の人気投票によって受賞作品が 選ばれる。 |
エクスポの会場には、多数の親子連れも詰 めかけた。日頃、家畜に接する機会の少ない 子供達も、愛らしい子豚が走り回るピッグ・ レースでは身を乗り出して観戦していた。 |
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