EUの豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○緩やかな増加傾向を維持する豚肉生産



●●●安定的な供給が行われた2001年の豚肉部門 ●●●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、2001年のEUにおける豚肉生産量は、前
年比0.2%減の1,753万トンとなった。豚肉生産は98年に大きく増加し、99年にはさ
らにそれを上回ったが、2000年には供給過剰による価格の暴落などにより減少に転
じ、2001年も前年と同水準にとどまった。

 国別では、主要国の中で前年と比較して最大の増加率を示したのがデンマークで、
98年以降生産量は停滞していたが、2001年前半の豚肉の高値や日本向けなどを中心
とした好調な輸出を背景に、飼養頭数の増加が図られてきたことから前年比2%の増
加となった。一方、大きく減少したのがオランダとイギリスである。オランダでは、
2000年を通じた口蹄疫の影響により前年比10%減となった。また、イギリスにおい
ても、約40万頭が口蹄疫のために処分されたことで、豚肉生産への仕向けが減少し
たため、前年比17%減となった。

 2001年の肉豚・豚肉価格は、牛海綿状脳症(BSE)問題の再燃により、牛肉から豚
肉へと需要がシフトしたこと、需要の高まりに対して供給がタイトであったことか
ら堅調に推移した。

 国別豚肉生産量


 


●●●わずかな増加が見込まれる2002年の豚肉生産 ●●●

 MLCは、2002年の豚肉生産については1,786万3千トンと前年比1.9%増加すると予
測している。2002年には、豚肉の高値が需要を抑えたことや牛肉の消費が回復して
きたことから、価格は次第に下落するとみている。

 主要生産国のうち、大きく増加したのがスペインで、前年比4%増と予測してい
る。スペインでは、2001年には口蹄疫の影響でオランダからの子豚輸入が減少した
が、今年は輸入が再開され、価格も安いことから輸入頭数が増加するものと見込ま
れる。このため、これらの豚の肥育後にと畜が増加するとみられている。デンマー
クにおいても「妊娠中の未経産豚」や「交配前の未経産豚」の飼養頭数の増加によ
り、豚肉生産は2003年初めまで増加が予測されている。また、ドイツについては、
前年比2%増とわずかに増加すると予測されている。国内では需要が低迷し、肉豚価
格の低迷が予測される一方で、輸出向けを中心に生産の増加が見込まれている。な
お、ルーマニア向けの2002年1〜3月までの輸出量はすでに2001年の実績を超えてい
る。また、フランスでは、と畜頭数が減少するものの、1頭当たりの枝肉重量が増加
するため、生産量は前年比でわずかな減少にとどまると予測されている。



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