2002年のチリ牛肉生産は増加見込み
2001年の生産量は前年比3.9%減
チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2001年の牛肉生産量(枝
肉ベース。以下同じ)は、前年比3.9%減の21万8千トンとなった。チリの牛
肉生産量は、97年をピークに減少しており、99年が干ばつに伴う粗飼料不足
などにより11.7%減の22万6千トン、2000年も前年の干ばつの影響が引き続い
たことなどから前年同の22万6千トンとなった。
牛と畜頭数を見ると、2001年は、前年比7.5%減の87万頭となった。これを
カテゴリー別に見ると、去勢牛は、46万2千頭と前年をわずか0.6%上回った
が、経産牛は、20.0%減の17万1千頭、未経産牛は、12.1%減の18万6千頭な
どとなり、去勢牛以外はすべて前年を下回った。雌牛のと畜頭数が減少した
要因については、乳価が高値で安定していたことから雌牛の保留傾向が強ま
ったためとしている。なお、1頭当たりの平均枝肉重量は、良好な天候条件に
より牧草の生育状態が良かったことなどから3.7%増の250kgとなった。
一方、2001年における生体牛価格については、去勢牛が2.0%高の532.7チ
リペソ(約91円:1チリペソ=約0.17円)と前年を上回ったものの、経産牛
は、2.6%安の321.4チリペソ(約55円)となった。と畜頭数の大幅な減少に
もかかわらず経産牛価格が下落した要因として、食肉消費に当たり牛肉と競
合関係にある鶏肉や豚肉の生産が大幅に増加したことなどを挙げている。
牛肉の需要増から輸入も増加、主要供給元はブラジルとパラグアイ
チリでは、90年代における牛肉の需要増加に伴い輸入が増加し、2001年は
牛肉需要量(枝肉ベース)の約6割を輸入でまかなっている。2001年の1人当
たりの牛肉消費量は、90年に比べ4.4kg増の23.2kgとなった。しかし、ここ2
〜3年の牛肉消費量はほぼ横ばいで推移し、さらに自国通貨が安値で推移した
ことから、2001年の牛肉(冷蔵肉および冷蔵肉)輸入量(製品重量ベース)
は、前年比1.6%減の8万5千トンとなった。なお、全輸入量のうち冷蔵肉が約
8割を占めている。
国別には、2001年は、ブラジルは前年比82.4%増の5万3千トン、パラグア
イは20.3%増の2万6千トンと2カ国で全輸入量の9割強を占めた。などとなっ
た。アルゼンチンは、99年に全輸入量の約半分を占めていたが、2001年3月の
同国における口蹄疫発生で同国産牛肉輸入が停止されたことなどから、86.6
%減の4千トンとなった。
チリ農牧庁の2002年3月19日付け決議833号によると、口蹄疫清浄国または
同地域が、そのステータスを喪失した場合、6カ月間にわたり口蹄疫が発生し
なければ、一定条件のもと、牛肉の輸入が許可される。なお、冷凍肉および
ひき肉は対象外となっている。一方、アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SE
NASA)によると、同国における口蹄疫最終発生は、2002年1月22日であること
から、決議833号によれば、同年7月23日以降、アルゼンチン産牛肉輸入が可
能となる。しかし、輸入解禁に当たり、チリの家畜衛生調査団による家畜衛
生状況に関する事前調査が必要であることから、アルゼンチン側は、6月中旬
に調査を実施するよう要請したが、チリで鳥インフルエンザが発生した影響
で、調査団の派遣に遅れが生じているものとみられる。
2002年の生産量は、90年代の水準並みに増加
2002年におけるチリの牛肉需給見通しについて、ODEPAによると、2001年10
月頃から始まった乳価の下落により、雌牛の保留傾向が弱まり、牛と畜頭数
は、前年比3.4〜14.9%増の90〜100万頭と見込まれていることなどから、牛
肉生産量は、90年代の水準に近い14.7%増の25万トンと予測されている。ま
た、牛肉輸入量は、前年並と見込まれている。
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