豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこのほど、昨年の肉牛生産者上位20社を発表した。 このランキングは、2年に1度実施され、今回で5回目となるものである。この調査結果は、 豪州の肉牛生産の潜在能力の高さとともに、粗放を中心とした生産体系の中に、フィー ドロット飼育等を組み合わせた新しい生産構造も示している。 ランク付けは2001年(暦年)における出荷頭数(推定枝肉重量として換算)に基づき 会社単位で行われる。第1位は、スタンブローク社で北部準州(NT)およびクインズラン ド(QLD)州に27の放牧地を持ち同年の出荷頭数は14万1,754頭(推定枝肉重量3万6,207 トン/年)に上る。同社の放牧地面積の合計は1,270万ヘクタール以上と、1社で北海道 の1.6倍の面積を保有し、総飼養頭数は55万1,351頭となっている。第2位は、オーストラ リアン・アグリカルチュラル・カンパニー(AACo)社で出荷頭数12万1,790頭(推定枝肉 重量3万3,865トン/年)、総飼養頭数40万8,092頭となっている。同社は、2001年のフィ ードロットランキングでも第5位に位置している。第3位は、キッドマン社で出荷頭数5万 2,012頭(推定枝肉重量1万3,742トン/年)、総飼養頭数16万8千頭、同社は単一牧場では 世界最大級のアンナクリーク牧場を保有し、その面積は238万ヘクタール(秋田県の約2 倍の面積)である。 そのほか、上位陣では、ノース・オーストラリアン・パストラル・カンパニー(NAPC O)社が前回調査時の6位から4位にランクアップした。また、オーガニックによる肉牛生 産を主体にしているブルーク社も16位と健闘している。
今回調査の推定枝肉重量から見ると上位2社で豪州全体の年間牛肉生産量の3.5%、ト ップ20の40%を出荷したこととなり、その規模がうかがえる。 上位2社は、調査ごとに総飼養頭数、出荷頭数を増加させ、規模拡大を続けており、調 査開始以来不動の順位を維持している。また、両社ともNT、QLD州北部に生産の拠点を置 き、放牧による肉牛生産を主体に行っているが、近年は、QLD州南部のフィードロットや 食肉処理加工会社の買収を行い、それまで粗放を中心としたグラスフェッド牛肉の生産 や東南アジア、中東への生体出荷から、フィードロットによる80日から200日のグレイン フェッド肥育を取り入れるなど、その戦略も多様化の様相を呈している。また、スタン ブローク社では、豪州の肉牛安全管理プログラムである「キャトルケア」の積極的な取 り組みも行われており、安全性への配慮にも余念が無い。 肉牛出荷上位10社
2001 ランク |
99 ランク |
会社名 | 出荷重量 (トン/年) |
牧場数 | 飼養頭数 (頭) |
飼養面積 (千ヘクタール) |
1 | 1 | Stanbroke Pastoral Company Pty Ltd | 36,207 | 27 | 551,351 | 12,700 |
2 | 2 | Australian Agricultural Company Ltd | 33,865 | 18 | 408,092 | 6,530 |
3 | 3 | S.Kidman & Co | 13,742 | 13 | 168,000 | 11,190 |
4 | 6 | North Australian Pastoral Company | 12,955 | 14 | 188,000 | 5,707 |
5 | 4 | Consolidate Pastoral Company Pty Ltd | 12,463 | 17 | 242,000 | 5,225 |
6 | 7 | Heytesbury Beef Pty Ltd | 9,406 | 11 | 201,049 | 3,337 |
7 | 5 | Colonial Agricultural Company | 8,359 | 8 | 128,277 | 2,018 |
8 | 13 | Laglan Pastoral Company | 6,710 | 6 | 55,000 | 500 |
9 | 10 | NA | 5,750 | NA | NA | NA |
10 | 20 | Lawn Hill Pty Ltd | 3,626 | 2 | 50,447 | 717 |
資料:MLA「FEEDBACK」2002年5月号 注1:出荷重量は推定枝肉重量。 2:NAは会社の方針により、非公表。
元のページに戻る