養鶏農家、家きん税の徴収に反発 ● インドネシア
農家団体、新税の納付を拒否
インドネシア養鶏業者協会(PPUI)はこのほど、西ジャワ州政府に対し、新たな家き
ん税の使途が不明瞭であるとして、PPUIおよびその傘下の養鶏農家はその納付を拒否す
ると表明した。この家きん税は、鶏1羽当たり10〜50ルピア(約0.2〜0.8円:100ルピア
=1.5円)を徴収するもので、PPUIは、チャロン・ポカパン社などの大手インテグレータ
ーとの競争を常に強いられる小規模農家には、新たな税金を納める余裕はないと反発を
強めている。また、こうした養鶏農家は、毎週、同州におけるブロイラーの需要の7割に
相当する1,900万羽を供給していることから、州政府は養鶏産業の底辺を支える小規模農
家の窮状にもっと目を向けるべきとしている。
小規模農家を顧みない政府への不満が噴出
近年、同国の養鶏業界では、大手インテグレーターによる市場寡占化の進行が指摘さ
れている。一定規模のインテグレーターは、仲買人を通した製品の流通を義務付けられ
ているものの、最近は直接に末端市場であるウェット・マーケット(常温流通による伝
統的な対面販売市場)で独自の価格を形成し始めており、小規模農家の経営を圧迫して
いるとされる。また、こうした大企業は、初生ひなの供給量を公開しないことから、小
規模農家が市場動向を把握するための情報が不足しており、調整役となるべき政府の施
策に不満が集まっていた。
そうした状況の中で、PPUIは、経営強化のためのトレーニングや業界の保護政策、重
要な情報の提供などへ活用されるものであれば新税の導入に異議を唱えることはしない
が、大企業と対峙せざるを得ない小規模農家を顧みない政府への協力はできないとして
いる。次第に激しさを増す不満の声に対し、当初は強硬な姿勢をとっていた同州政府も、
今後しばらくは現場の声に耳を傾けていくとの柔軟な態度を見せ始めているようだ。
インドネシアの養鶏業界は近年、生産過剰や不正輸入の増加などでブロイラー価格が
下落し、経営危機に陥る農家が相次いだものの、大企業の活躍を中心とする輸出の増大
などでようやく不振から脱する兆しを見せている。しかし、その一方で、苦悩する小規
模農家の姿が浮き彫りとなった。
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