◇絵でみる需給動向◇
EU統計局によると、2001年11月または12月時点のEU15カ国の 牛飼養頭数は、前年同期に比べて1.2%下回る8,030万6千頭となり、96年以降、 6年連続の減少となった。 カテゴリー別に見ると、肉用または乳用経産牛の更新用(繁殖用)として供 される1歳以上の未経産牛を除き、すべてのカテゴリーで前年同期を下回った。 国別に見ると、EU15カ国のうち11カ国で前年同期を下回った。特に、2001年 に口蹄疫(FMD)の大発生に見舞われたイギリスでは、FMD清浄化のための殺処 分等による影響で、前年同期比6.6%減と、最大の減少幅を示した。 一方、EU最大の牛飼養頭数を誇るフランスでは、乳用経産牛を中心とした農 場保留の増加などにより、前年同期を1.0%上回った。また、アイルランドで は、生体牛輸出の不振を受けて、前年同期を0.9%上回った。 EUの国別牛飼養頭数 注1:ベルギーにはルクセンブルグを含む 2:各年11月または12月時点の頭数
2001年の牛のと畜頭数(食用)は、30カ月齢を超える牛の特別買上・廃棄処 分などにより、前年に比べて5.2%減少したとみられている。2001年前半のと 畜頭数は、廃棄処分のために前年同期比15%減となったが、後半には前年同 期比5%増となっており、急速にFMDや牛海綿状脳症(BSE)の影響から回復し ている様子がうかがえる。 と畜頭数は、ほとんどの加盟国で減少しているものの、国別に見ると、特に 減少が著しいのは、アイルランドで前年比25%減、次いでオランダが同15.8% 減、イギリスが同12%減、とFMD発生国での減少が大きくなっている。
しかし、2002年のと畜頭数については、一転して前年比4.5%の増加 を見せるとEU統計局では予測している。これは、主に、成牛価格の回復に伴 い、農場に保留されていた牛などの出荷増加が、2002年の前半まで続くとみら れていることによる(2002年上半期と畜頭数:前年同期比13%増、下半期:同 2%減)。 また、牛肉消費の回復もと畜頭数増加の要因と考えられる。2001年の牛肉消 費は、EU全体では前年比8.0%減と見込まれている。年の後半になるに従い、 回復は顕著になっており、2002年も引き続き消費の増加傾向は続くものとみら れ、2003年にはBSE発生以前の水準にまで回復するものと予測されている。2 002年の牛肉需給・価格については、域外輸出を除き、前年の状況からは、 確実に改善するとみられている。
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