米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○下落が続く肥育牛価格


●●●2001年10月以降前年同月割れが続く●●●

 肥育牛価格の前年同月割れが続いている。米農務省(USDA)によると、
肥育牛価格(去勢牛、チョイス級、生体重量1,100〜1,300ポンド、ネブラスカ
州)は2001年10月以降、一貫して前年同月を下回って推移しており、2002年4
月も前年同月比9.9%安の68.4ドル/100ポンド(約195円/kg:1ドル=129円)
と弱含みの相場を示している(左図参照)。

 また、牛肉卸売価格(チョイス級、枝肉550〜700ポンド)もホテル・レス
トラン向け需要の落ち込みから11月以降前年を下回っており、2002年3月は前
年同月比9.3%安の117セント/100ポンド(約33円/kg)となった。


●●●肥育素牛価格も低下●●●

 一方、肥育素牛価格も低下している。2001年10月以降、前年同月を下
回って推移しており、4月の肥育素牛価格(オクラホマシティの市場価格、去
勢、600〜650ポンド)は、前年同月比10.2% 安の86.4ドル/100ポンド(246
円/kg)となった。肥育素牛価格は、99年6月以降、堅調に推移してきたが、
肥育牛価格の低迷を受け低下したものと見られる。

◇図:肥育素牛価格の推移◇


●●●供給増に加えて他の食肉との競合で価格は弱含み●●●

 このように、価格が前年を下回る水準で推移しているのは、輸出向け需要の
減退に加えて、生産量の増加を反映したものとみられる。と畜頭数は前年同期
比1.2%増となっており、また、1頭当たり枝肉重量は、2001年8月以降340kg台
と過去最高水準で推移している。さらに、ロシアの米国産鶏肉輸入停止措置の
実施により、輸出に向けられる鶏肉が国内市場に出回っていることから、食肉
全体の供給が増加し、食肉価格が全般に軟化している。牛肉は他の食肉との競
合において、特に価格面で不利なことから、こうした局面では、他の食肉へ消
費がシフトしていることも考えられる。USDAによる見通しでは、2002年前半は、
前年を下回る価格水準となることが予想されている。

◇図:枝肉重量の推移◇

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