◇絵でみる需給動向◇
EU委員会によると、2001年のEU15ヵ国からEU域外への豚肉輸出 量(船積み重量ベース、速報値)は、前年比24.2%減の106万800トンとなった。 2001年1〜2月の豚肉輸出は比較的堅調に推移していたが、後半には口蹄疫 (FMD)の発生により大きく減少することとなった。
豚肉の主要輸出国であるデンマークの2001年のEU域外向け豚肉輸出量は、前 年比11.3%減の53万5,600トンと2年連続で減少した。デンマークの輸出減少の 要因は、イギリス、フランス、オランダ、アイルランドにおけるFMD発生の 影響を大きく受けたことによるものである。また、これまで大きな輸出国であ ったオランダやフランスも、FMDの影響により輸出量は半分以下に減少してい る。 豚肉輸出の主要国が軒並み前年度を下回っている中、ドイツの輸出量は前年 比19.7%増の15万3,700トンと著しい減少をみせたオランダやフランスを抜い てEU第2の輸出国となった。
デンマークの主要輸出市場である日本では、EUのFMDの発生により、E U産豚肉等の全面一時輸入停止措置が講じられたため、輸入先が北米にシフト した。また、輸入停止措置の解除後には、輸入が急増したため2001年8月に豚 肉等に係る関税の緊急措置を発動しており、これもデンマーク産豚肉の日本向 け輸出量減少の要因といえる。韓国市場においても、FMD発生によるフランス、 アイルランドおよびオランダ産の豚肉の輸入禁止が消費者不安の原因となり、 デンマーク産豚肉に対しての需要減少も引き起こした。そのため、韓国への輸 出量も減少している。 また、2001年6月以降続いている輸出補助金ゼロの状態は、EU産豚肉にとっ て大きな市場であるロシアにおいて、安価なブラジルや北米産豚肉との競争を 一層厳しいものにしている。 2001年の国別豚肉輸出量 資料:OFIVAL、EU委員会 注:速報値
厳しい結果となった2001年の豚肉輸出であるが、2002年にはFMD に係るEU産豚肉等の輸入禁止措置の解禁が見込めることに加え、日本の4月か らの豚肉等に係る関税の緊急措置の解除や韓国でのFMD発生によるEU産豚肉の 輸出機会の増加など、2002年のEUの豚肉輸出には期待がもたれている。
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