◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2002年4月の肥育豚価格(生体重換算、 全米平均取引価格)は、前年同月比31.5%安の33.8ドル/100ポンド(96円/ kg:1ドル=129円)となった。肥育豚価格は99年8月以降、と畜減などを反映 して前年水準を上回って推移してきたが、2001年10月以降おおむね前年割れが 続いており、4月は99年7月以来の30ドル台前半を記録した。 (左図参照)
肥育豚価格が30ドル台前半まで下落した要因として、生産量の増加が挙げ られる。と畜頭数が3ヵ月ぶりに7.4%前年同月を上回り、1頭当たり枝肉重量 も前年同月を上回っていることから、4月の生産量は9.3%増となった。この背 景のひとつには、米国の生体豚輸入の大半を占めるカナダからの輸入増がある。 2001年1〜2月の輸入は前年同期比24.6%増の99万6千頭となり、依然として輸 入の増加傾向は継続している。このうち6割が肥育向けとされており、これら を含めて生産量の増加が見込まれている。最近のカナダ産生体豚の輸入増加は、 国内の価格の下落を引き起こしているとされ、このまま増加が続けば、米国内 のと畜処理施設での停滞を生じさせると、全国豚肉生産者協議会では声明を発 表している。この声明では,2002年末時点でのカナダからの輸出量が正確には どのくらいになるか明らかにされていないが、同協議会によると2001年の530 万頭に対し、580万頭程度と見込まれているとしている。 また、ロシアによる米国産鶏肉の輸入停止措置も価格低下に影響を与えてい るとみられる。景気の低迷により国内消費に落ち込みが見られる中、この停止 措置によって輸出に向けられる鶏肉が国内市場に出回り供給増により食肉市場 を圧迫し、競合する豚肉の需要の減退にさらに拍車をかけているとされている。 こうした状況もあり、冷凍豚肉の在庫水準は、2001年12月以降前年度を上回 って推移しており、特に3月末現在は前年同月と比べて20%以上高い水準とな り、在庫の積み増しが顕著となっている。 ◇図:冷凍豚肉在庫の推移◇
一方、輸出についても口蹄疫の発生によりEUからの輸出が停止したことで 2001年の米国の輸出は、過去最高となったが、デンマークなどが輸出を再開し ていることから、2002年は前年比4.1%減の67万4千トンと減少が見込まれてい る。 USDAによる見通しでは、国内消費と輸出の減少から2002年の年間平均価格は 前年比13%安の40ドル/100ポンド(約114円/kg)近くまで下がると予想され ており、価格をめぐる環境は厳しいものとみられる。
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