農相が学童向け牛肉ワークブック発行に期待 ● 豪 州
牧場から食卓までの牛肉産業を説明した本を発行
豪州連邦政府のトラス農相は4月17日、クインズランド州ロックハンプト
ン近郊の家畜市場において、学童向けの牧場から食卓までの牛肉産業を説明し
た本が発行されたことを紹介した。この本は、西オーストラリア州の非営利の
農場改良組織であるコンディニン・グループ(Kondinin Group)の製作による
もので、MLA(豪州食肉家畜生産者事業団)が製作資金の提供を行っている。
今回の牛肉編の発行は、同グループが93年に羊毛編の発行で始めた学童プログ
ラム・シリーズ(The Workboot Series)の一環となるものである。
全国的な学校調査をもとに発行
同グループは昨年、この本の発行に先立ち全国的な学校調査を実施した。そ
の調査によると、調査対象学童の88%が農場を訪問した経験がなく、5人に1人
しか革が牛からできることを知らなかったとされる。
トラス農相は「かつては大部分の豪州人が農民を知っているか、農村地域を
よく訪ねていたが、現在では、大部分の豪州の子供達が都市で全生活を送り、
調査によるとわずか24%しか農民を知らず、ほとんど田舎の産業を理解してい
ない状態にある」とし、最近、都市と農村地域との間に進展している断絶をつ
なぐために都市の子供が豪州の農場についての知識を深めるような教育を求め
ていた。
同農相は、今回の牛肉編を含めたこのシリーズが、子供達のみならず多くの
大人達の農業に関する知識欠如の改善に取り組むものであり、近代的な豪州農
業が日常生活で果たしている重要な役割を多彩かつ面白い方法で子供達に提供
することを目指すものであると評価し、コンディニン・グループに賛辞を呈し
ている。
牛肉産業に関する基本的事実を掲載
今回の牛肉編は、どのように肉牛が農場で飼育され、また、牛肉として処理
加工され、消費者に新鮮に届けられるのかを教えるものであるが、次のような
いくつかの牛肉産業に関する基本的な事実が記載されている。
・豪州の牛の飼養頭数は約2,400万頭である。
・豪州にはおよそ49,000の牛の農場がある。
・豪州は世界の牛肉の3.9%(200万トン)を生産しており、世界最大の牛肉輸
出国である。生産量の65%が輸出され、30億豪ドル(約2,130億円:1豪ド
ル=71円)の輸出額は世界の牛肉輸出合計額の22%を占める。
・牛肉産業は、我々が食べる健康に良い、安全な食物を提供し、豪州にとって
貴重な外貨収入を得ている。
・AQIS(豪州検疫検査局)は、477の食肉処理施設で食肉を検査する。
・副産物を使って作られた製品には革製品などさまざまなものがある。
・牛皮革の輸出は、毎年、豪州に5億豪ドル(約355億円)以上の収入をもたら
す。
・豪州の牛肉生産の70%はクインズランド州とニューサウスウェールズ州から
のものである。
・豪州人は、レッドミートでは世界で10番目の消費者である。
・肉牛産業は豪州人に10万以上の雇用を提供する。
コンディニン・グループの学童プログラムは現在、豪州全域の4千の小学校
で、重要な農業の知識・情報の供給源とされているが、全国9千の小学校に行
き渡るには、時間がかかるとされる。
トラス農相は、このシリーズが多くの都市の教室や学校図書館で、子供達の
農場に関する知識の普及に貢献することを期待している。
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