2001年の細菌による食中毒、96年比で23%減 ● 米 国
リステリア菌で35%、サルモネラ菌で15%それぞれ減少
米保健社会福祉省(HHS)疾病予防管理センター(CDC)は4月18日、
細菌による食中毒発生状況に関する2001年のサーベイランス結果(暫定値)
を公表した。この調査は、食品由来疾病アクティブ・サーベイランスと呼ばれ、
特定の地域において96年以降HHS、米農務省(USDA)および州政府が協力して実
施しているものである。
今回発表された2001年のサーベイランス結果によれば、96年と比較して食中
毒発生件数は全体で23%減少しており、主な細菌別では、サルモネラ菌の感染に
よるものが15%減、カンピロバクター菌が27%減、リステリア菌が35%減、病
原性大腸菌O-157が21%減となっている。
一方、食中毒の罹患については、乳幼児の比率が他の年齢層と比べて極めて
高いことから、HHSではカンピロバクター菌およびサルモネラ菌による食中毒の
散発的発生事例に関して、これらの防止方法を特定するための研究を行ってい
ることも明らかにした。
HACCPなどの各種規制が奏功
HHSは食中毒減少の要因として、
@USDAが食肉・食鳥加工処理工場で実施している危害分析管理点監視方式
(HACCP)に基づく規制、
AHHS食品医薬品局(FDA)が実施しているサルモネラ菌感染防止のための鶏卵
安全性プログラム、果実・野菜および海産物のHACCPに基づく規制、
B政府の関連部局による食品安全性に関する消費者教育、
C輸入食品に対する規制強化などを挙げている。
なお、食中毒減少の要因の一つに挙げられた食肉加工処理工場におけるHACCP
システムの導入については、96年7月の食肉関連規則の改正を受けて、大規模工
場(従業員500名以上)では98年1月26日から、中規模工場(従業員10名以上500
名未満)では99年1月25日から、小規模工場(従業員10名未満または年間売上高
250万ドル(約3億2千3百万円:1ドル=129円)以下)では2000年1月25日から
実施されている。
USDA、昨年未公表の食品安全性向上対策の一環として、
牛ひき肉の
製造に関するHACCPシステムの強化を発表
こうした中、USDAのムラノ次官(食品安全性担当)は4月22日、さら
に食肉の安全性を高める対策として、牛ひき肉の製造に関してHACCPシステム
を強化していくことを明らかにした。これによれば、牛ひき肉を製造する工
場が、病原菌の汚染を防ぐ効果的な対策を講じていない、または原料を供給す
る業者に対してHACCPシステムの一環としてその対策を義務付けていない場合、
USDAの食品安全検査局(FSIS)は、現行のHACCPシステムについて詳細な検査
を実施することとなっている。ムラノ次官は「病原菌の削減に向けて、重要
なことはHACCPシステムの強化であり、今回の措置は我々がHACCPシステムの潜
在力をいかに引き出すことができるかを示す例である」と述べた。
USDAの本措置の発表は、昨年12月18日に明らかにされた一連の食肉安全性向
上対策の一環とされている。その際には、現行の食品安全性の関連規則の変更
について、関連する部局と協力の上、包括的な見直しを行い、HACCPシステムそ
の他の食品安全性プログラムを強化するために、科学的根拠に基づいて、そ
の必要性を判断していくことなどの方針が示されていた。
前政権同様、ブッシュ政権も食品安全性を重視していることは明らかで、20
03年度の予算案では、史上最高となった今年度をさらに上回る9億5百万ドル
(約1,176億5千万円)がFSISの食肉、鶏卵製品などの安全性向上策のために
計上されている。
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