◇絵でみる需給動向◇
ブラジルではとうもろこしの生産が1年に2回行われる。1回目は雨の多い夏 の期間(10〜2月)で、2回目は比較的乾燥した冬の期間(2〜7月)である。 夏の収穫は冬に比べ格段に大きく、総生産量の約85%を占めている。また、1 ヘクタール当たりの収量についても、夏作の方がかなり上まわっている。 南部、中部地域のリオ・グランデ・ド・ソル、パラナ、サンタ・カタリーナ、 サン・パウロ、ミナスゲリアス、ゴイアス、マット・グロッソ・ド・スルが主な 生産地であり、これら7つの地域で総生産量の85%以上を占めている。
2001/02年度の夏作の作付面積は、他の穀物に比べて利益が低いために 約11%減少した。米農務省(USDA)の現在の予測では、2001/02年度の とうもろこしの作付面積を前年比6%減の1,280万ヘクタール、生産量を前 年比13%減の3,600万トンとしている。 USDAの海外農業局(FAS)が2月に公表したブラジルにおけるとうもろこしの 生産予測によると、一部の地域で干ばつが発生したものの10月から1月にかけ て、生産地の大部分は例年以上の降雨量があり、2001/02年度の夏作とう もろこしの生産は良好な見通しであるとしている。
ブラジル政府は、冬作とうもろこしの生産目標を前年比27%増の800万ト ンとする模様である。しかし、800万トンの生産を達成するためには、1ヘク タールあたり2.64トンという記録的な生産量が必要である。 ブラジル中部の主要な冬作とうもろこし生産地域では、現在の土壌水分は良好 であるが、平均以上の生産を達成するためには、必要な時期における冬の降雨と 温暖さが必要である。昨年の冬作とうもろこしの収穫は、630万トンという記 録を出したが、これは平均以上の降雨量、霜による損害がなかったことなど、ま れにみる理想的な天候に負うところが大きかったことから、今期の目標達成はか なり不透明な要素含んでいる。 また、作付面積については、今後、国内価格が上昇すると見込まれるため、約 10%増加すると予測されている。
FASによれば、養豚、家禽産業の拡大による強い国内需要がブラジル国内のと うもろこし価格に影響を与える主要因としており、また、ブラジルは飼料穀物に 対して非常に大きな需要を有しているとしている。2001/02年度における 国内のとうもろこし消費量は3,500万トン(うち飼料用の消費量は3,10 0万トン)、一方、生産量は3,600万トンと予測していることから、昨年度 に比べ需要と供給のバランスは厳しくなるとしている。 ◇図:ブラジルのトウモロコシの生産量および消費量◇
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