◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)と豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が四半 期ごとに発表するフィードロット調査によると、2001年12月のフィードロ ット飼養頭数は、前回調査比18.0%減の60万8,509頭となった。飼養 頭数は、2000年12月以降4期連続で増加傾向であったが、今回の調査では 大幅な減少率を示したため、前年同期の水準となった。また、フィードロットの 収容能力に占める飼養頭数の割合である稼働率もこれまで高い水準で推移してい たが、飼養頭数の減少に合わせて大きく下降している。 ◇図:フィードロットの飼養頭数と稼働率の推移◇
ALFAによると、今回の調査結果は、日本でのBSE問題の影響を反映したとして いる。飼養頭数を仕向け先別に見ると、日本向けが前回調査比12.2%減の3 6万3,055頭となったが、前年同期と比べると4.8%増加しており、日本 以外の輸出向けは、前回調査比39.4%増、前年同期比24.6%増の4万6, 286頭となっている。 このように飼養頭数が増加している輸出向け肥育牛は、中期または長期の肥育 期間を半分から3分の1に短縮して国内市場向けに出荷するか、もしくは短中期 間に日本市場の需要回復を期待して、牛群を保留しているフィードロットもある という。 しかし、輸出向け肥育牛は長期肥育では200〜300日間肥育されることも あるため、肥育期間を短縮して国内市場に仕向け先を変更しても小売価格の高値 がネックとなり、国内市場における消費減退の要因ともなっている。日本だけで なく豪州における消費減少も、取引や契約などに影響を及ぼし始めている。 仕向け先別飼養頭数 資料:ALFA
ALFAでは、豪州のフィードロット業界は、市場の多様化により日本のBSE問題 の影響を予想以上にうまく切り抜けており、稼働率の抑制は結果的に良いことで あるとしている。また、今後の動向については、日本の市場次第であるとしなが らも、輸出市場の多様化と既存市場における輸出量拡大により、長期的には明る い見通しとしている。
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