◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)がこのほど公表した牛の飼養動向調査によると、2002年 1月1日現在における牛の総飼養頭数は、前年比0.6%減の9,670万頭と なった。キャトルサイクルは、記録的な穀物価格の上昇に伴い、肥育経営の収益 性が悪化した96年をピークに減少に転じ、その後も、子牛価格の低迷や、干ば つによる粗飼料不足などから前年を下回って推移していた。今回の調査結果から、 総飼養頭数は6年連続で減少し、キャトルサイクルは未だに下降局面にあること が明らかとなった。 牛群構築のカギを握る雌牛について見ると、繁殖用雌牛頭数は、前年比0.9 %減の4,220万頭と前年割れが続いている。また、500ポンド(約227 kg)以上の未経産牛頭数は、2001年は6年ぶりに増加したものの、2002 年は前年比05%減の1,968万頭と再び減少した。 この飼養頭数減少の背景には、2000年夏の干ばつで飼料供給がひっ迫した こと、2001年の冬が92/93年以来最も厳しいものとなったことなどで、 雌牛の保留が進まなかったことがある。 ◇図:牛の総飼養頭数の推移◇
一方、肥育去勢牛は、前年比2.2%増の1,680万頭と6年ぶりに増加に 転じている。これは、最近の肥育牛価格の低迷により、フィードロット保留が高 まっているためと見られる。肥育牛価格(去勢牛、チョイス級、生体重量1,1 00〜1,300ポンド、ネブラスカ州)は10月以降前年同月を下回っており、 1月は前年同月比14.6%安の67ドル/100ポンド(約198円/kg:1 ドル=134円)と弱含みの相場で推移している。 牛の飼養動向 資料:USDA/NASS「Cattle」 注:1)500ポンド以上 2)500ポンド未満の子牛 3)各年1月1日現在
今後の見通しについては、この春と夏の飼料供給が牛群構築のカギとなるが、 これが改善されれば、より多くの未経産牛が更新用として保留され、繁殖に回さ れるものとみられる。USDAでは、牛肉の供給は2005年以降上向くが、それ以 前は減少すると見込んでおり、その減少の程度は、肥育素牛の供給減少や、肉用 経産牛と未経産牛のと畜動向次第とみられる。
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