◇絵でみる需給動向◇
ブロイラーの生産量が堅調に推移している。タイ農業協同組合省が公表した2 001年10月の生産量は前年同月比13.6%増の8,800万羽となり、5 月以降、史上最高を更新し続けている。1〜10月の合計でも、前年同期比11 .4%増の8億2,500万羽とかなり大きく増加している。 2001年の生産量は通年で前年を上回っているが、生産動向を期間別に見る と、2001年1〜3月は前年同期比8.9%増の2億3,700万羽、4〜6 月は同10.4%増の4,500万羽、7〜10月は同13.8%増の3億4,3 00万羽となっており、後半に入って伸びは益々加速している。 こうした通年にわたる生産増は好調な輸出にけん引されており、主要な輸出市 場である日本や欧州における鶏肉需要の増大傾向を考慮すると、年末需要が織り 込まれる第4四半期の生産には一層拍車がかかるものと思われる。 ◇図:期間別ブロイラー生産の推移◇
一方、ブロイラーの生産動向に大きく影響するひなの孵化羽数も高水準の増加 を見せている。2001年10月の孵化羽数は前年同月比13.3%増の9,2 00万羽となり、ブロイラーの生産量と同様に5月以降は記録を更新している。 また、1〜10月の合計でも、前年同期比11.4%増の8億6,200万羽と 大きく増加している。 ひなの需要増大に伴い、2001年のひな価格は高騰しており、10月の1羽 当たりの価格は前年同月比33%高の11.3バーツ(約35円:1バーツ=3. 1円)と大幅に上昇している。 ◇図:ひなのふ化羽数と価格の推移◇
ハイペースの輸出が続いていることから、輸出国の嗜好に応じた鶏肉生産を行 う生産者も現れている。大手の鶏肉輸出企業であるサハ・ファーム社は、抗生物 質を投与する代わりに国産の薬草を使った鶏肉生産を開始した。こうした「有機」 をうたった鶏肉は、日本などへ従来品の3割程度高い価格で輸出されているとい う。同社は週に35万羽のブロイラーを生産しており、既にその6割が薬草使用 に切り替えられている。 また、輸出国の厳しい衛生基準をクリアするため、生産現場における衛生面の 強化を図るプログラムも進行している。農業協同組合省畜産局によると、一定水 準の衛生基準を満たした者のみに生産の認可を与える制度の準備が整いつつあり、 製品の信頼度を高めることによって、競争が一層激化する輸出市場で優位を保と うとする姿勢がうかがえる。
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