◇絵でみる需給動向◇
2000/01年度(7〜6月)の全粉乳の輸出量は、前年度比4.5%増の 18万2,534トンと11年連続の増加傾向を維持した。全粉乳の国際価格は、 海外市場からの強い需要に後押しされ、2000/01年度を通じて高値であっ た。このため、特に全粉乳に傾斜して乳製品生産が行われ、全粉乳輸出が増加し た。 また、同様に国際市況の高値を示していた2000/01年度の脱脂粉乳輸出 は、前年度比11.3%減の22万4,673トンとなった。2000/01年 度の海外市場における脱脂粉乳需要も強かったものの、バターの価格が低調であ ったことなどから豪州における脱脂粉乳生産が前年度を割ったことが、脱脂粉乳 輸出が増加しなかった要因といえる。 ◇図:粉乳輸出量の推移◇
2000/01年度の全粉乳輸出量を輸出地域別に見ると、99/2000年 度には輸出シェアの8割以上を占めていたアジア地域が、前年度比8.7%減の 12万9,471トンとなり、シェアは70.9%に減少した。アジア地域の中 の主な全粉乳輸出先国は、フィリピン、スリランカ、バングラデシュや台湾など であるが、これらの地域の通貨が安値となったことが、輸出減少の要因であると 考えられる。 一方、輸出量が増加したのは、南北アメリカ全体を示すアメリカ地域が前年度 比274.5%増の1万1,180トン、アフリカが同145.3%増の1万5, 243トン、中東が同7.4%増の1万9,253トンとなった。シェアはそれ ぞれ8.3%、6.1%、9.5%とアジアと比べると小さいものであるが、特に 中東向けは年々確実に輸出量を増加させている。今後の豪州の全粉乳輸出は、中 東などにおける市場拡大と最大の市場であるアジア地域への輸出を、どのように バランスを取っていくかが鍵となる。
脱脂粉乳の輸出量を輸出地域別に見ると、最もシェアの大きい地域はアジアで 全体の8割以上を占めている。2000/01年度の全体の輸出量は前年度比1 1.3%減、うちアジア向けの輸出量も同10.1%減の18万9,498トンと なった。アジア地域向けの減少は、全粉乳と同じく為替変動が要因として挙げら れる。アジア地域向けの輸出量が全体の輸出量に与える影響は大きく、97/9 8年度の輸出量が減少した際もアジア地域における経済危機の影響によるところ が大きいとされている。 その他の輸出地域としては、全粉乳と同様に、アメリカ地域が前年度比38. 3%増の1万8,936トン、中東が同11.1%増の1万825トンとこの3 地域でシェアの97.5%を占めており、2000/01年度は減少したものの アジア地域への輸出が豪州にとって重要であることには変わりない。
元のページに戻る