EU農相理事会、欧州食品安全機関創設等の規則を承認


安全食品を提供するための基幹組織と期待

 EU農相理事会は1月21日、欧州食品安全機関(EFSA:European Food Safety
Authority)創設等に関する規則を承認した。また、EFSAの設置場所については、
今回の理事会までに調整がつかず、EU本部のあるブラッセルに暫定的に設置さ
れることになった。欧州市民に対し、できる限り最高の安全食品を提供するため
の基幹組織として、EFSAの活動が期待されている。なお、今回承認された規則で
は、EFSAの創設のほか、EUの食品法に関する一般要件などが規定された。例えば、
事業者は、安全な食料・飼料のみを市場流通させ、安全でないものを市場から排
除することに責任を持つこと、また、食品・家畜飼料・飼料添加物などの追跡可
能性を確立することが規定されている。


EFSAの主な役割は科学的助言など6つの事項

 EFSAの役割および組織体制についての概要は以下のとおりである。

(役割)

 EFSAの役割は、食品および飼料の安全に直接または間接に影響するすべての分
野において、科学的な助言を行い、EUの法令および政策を支持することである。
主な役割は、次の6つである。

@食品安全、その他の関連事項(家畜衛生・動物福祉、植物衛生、遺伝子組み換
 え(GM)作物、栄養など)について、EU委員会、欧州議会、加盟国の要請に応
 じ、危機管理の決定の基礎となる独立した科学的助言を行うこと

A食物連鎖に関連する政策展開および法令を補強するため、食品問題に関する技
 術的助言を行うこと

BEUにおける食物連鎖の安全性を監視するために必要な、食事様式、ばく露、そ
 の他の潜在的な危険性に関するデータ・情報の収集および分析

C危険性の発生の確認および早期警告
 EFSAは、EU委員会により管理される迅速警報システム(Rapid Alert System)
 の一員となる。食品および飼料を対象に、人の健康に直接または間接に大きく
 影響するどんな情報も加盟国からシステムに通報される。情報は直ちにEU委員
 会から構成員(加盟各国およびEFSA)に転送される。EFSAは、加盟国が迅速か
 つ適切な危機管理を行うのに役立つ、科学的・技術的情報の追加提供を行う。

D危機におけるEU委員会への支持
 EU委員会は依然、危機管理対策について議会および理事会に提案し、緊急対策
 を決定する責任を持つ。危機管理対策としては、食品または飼料の流通禁止、
 流通の制限などが考えられる。EFSAは危険性の発生確認業務に加え、危機管理
 を補佐する。危機においては、EU委員会は直ちに危機管理部局を設け、EFSAは
 その一員となり、必要な科学的・技術的助言を提供する。同部局はすべての関
 連情報を収集・評価し、危険性を効果的・迅速に防止・減少させるための選択
 肢を特定するとともに、危機における広報も担当する。

E権限を持つすべての事項に関する一般大衆への情報提供


科学パネルは家畜飼料、GM作物などの分野ごとに設置予定

(組織体制)

 EFSAは、管理委員会、執行委員長、諮問委員会、科学パネルで組織される。管
理委員会は、消費者および業界関係者を含む14人およびEU委員会代表者1人の計
15人で、任期は4年である。執行委員長を補佐する諮問委員会は、各国の同様な
役割を持つ機関から1人ずつ計15人で構成される。科学パネルは、公募され、管
理委員会から任命される独立した科学的専門家で構成される。これらの科学者は
EFSAの雇用者にはならない。科学パネルは、食品添加物など、家畜飼料、植物衛
生・農薬など、GM作物、栄養・アレルギー、伝達性海綿状脳症・牛海綿状脳症を
含む生物学的危害、家畜衛生・動物福祉について、分野ごとに設置される予定で
ある。

 なお、異なるパネル間の科学的見解の整合性を図るため、各パネルの議長およ
びパネルに属さない6人の専門家から構成される科学委員会を設けることとされ
ている。

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