ブラジル、牛の個体識別制度に関する規則を制定
個体識別制度を今後6年間で導入
世界各地で食品の安全性への関心が急速に高まる中、ブラジル農務省は1月9
日、牛(水牛を含む。)の個体識別制度に関する規則を制定した。プラチニデモ
ラエス農相によると、同制度は今後6年間で段階的に導入されるとしている。
ブラジルでは、同国最大の牛肉輸出相手国であるEUから輸入条件として家畜の
追跡可能性(トレーサビリティー)を求められていたことなどから、ブラジル農
務省農牧防疫局(SDA)、ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)、全国農業連盟(C
NA)などを中心にトレーサビリティーの基礎となる個体識別制度の導入を検討し
てきた。
実施機関は州の家畜衛生機関等で、マイクロチップを用いた耳標等で識別
ブラジル農務省によると、同制度の目的は、同国で生産または輸入されたすべ
ての牛の個体識別、個体登録および生産履歴の追跡を可能にすることである。同
制度を管理するSDAは、家畜の個体識別・登録業務の監督、実施機関の認定など
を行う。個体情報については、全国統一の登録システムに入力され、データベー
スの管理もSDAが行う。
実施機関は、SDAより認定を受けた民間または政府関係機関であり、生産農場
の登録、家畜の個体識別・登録、家畜の履歴証明となる識別書類の発行などにつ
いて責任を負う。実施機関としては、州の家畜衛生機関、生産者団体などが挙げ
られている。
家畜の個体識別方法は、マイクロチップを用いた耳標型、呑込み型などが検討
されているが、どの識別方法を採用するかについては、各実施機関の決定に委ね
られるとしている。
同制度に登録された家畜の識別書類には主に次の事項が明記される。生産農場
の固有識別番号、家畜の個体識別番号、家畜の出生月または生産農場への搬入日、
性別、飼育法、飼料、移動歴、衛生データ(ワクチン接種記録、治療歴など)。
また、輸入家畜については、原産国、生産農場、輸入許可日、入国日などが明記
される。
一般農場と異なり、EU向け輸出牛肉を生産する農場にあっては本年6月までに登録
同制度への生産農場の登録期限は、口蹄疫清浄地域あるいは同地域を申請中の
州の生産農場が2005年12月まで、その他の生産農場は2007年12月までとされて
いる。ただし、EU向けの輸出を目的とする生産農場にあっては2002年6月までと
され、それ以降については、未登録農場由来の牛肉をEUへ輸出することは認めら
れない。また、EU以外の国々への輸出を目的とする生産農場は2003年12月までと
されている。
国家食糧供給公社(CONAB)によると、2001年1〜11月におけるブラジルの牛
肉(冷蔵・冷凍肉)輸出量(製品重量べース)は、前年同期比の約2倍の33万4
千トンであり、主要な輸出相手国は、EU、チリ、イスラエルなどである。プラチ
ニデモラエス農相によると、同制度の導入は、ブラジルが輸出相手国の求める衛
生条件の保証に努めていることを示す最も有効な手段であるとし、ブラジル産牛
肉輸出のさらなる拡大が期待できるとしている。
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