北方地域での生産拡大が見込まれる黄羽肉鶏(中国)


中国の肉鶏飼育総数の5割を占める黄羽肉鶏

 中国では「鶏がなければ宴にはならない」ということわざがあるほど、国民の
日常的な食生活に鶏は深く浸透している。ここ20年余りにわたり、中国では黄羽
肉鶏の生産が非常に速い速度で拡大し、この間の成長率は年間15%を超えている。
統計によると、現在、中国の黄羽肉鶏の年間飼育羽数は20億羽以上に達し、中国
の肉鶏飼育総数の5割前後を占めている。ただし、伝統的な観念、消費習慣、伝
播ルートといった要因により黄羽肉鶏の消費地域は、主に広東省、香港、マカオ
といった地域に集中してきた。しかし、近年、北京を中心に北方地域の各省にも
大量の良質な黄羽肉鶏の種鶏が導入され、少しずつ消費の幅が広がっている。


品種改良によるさまざまな優位性が特徴

 中国の現地報道によると、生活水準の向上や健康に対する意識の高まりととも
に、食生活に対する国民の関心が高まりつつある中で、黄羽肉鶏は特に注目を集
めているとしている。これは、この鶏が中国各地の優良品種を選抜育成したもの
であり、地鶏の特徴を保ちながらも低脂肪、高タンパク、低コレステロールの特
徴を持つためである。北京および近郊省では、この黄羽肉鶏を用いた製品が販売
されるとともに、市場での人気を集め、需要に供給が追いつかない状態が続いて
いる。飼料原料の主要生産地である北方地域は、鶏の一大生産拠点であるととも
に北京などの大きな消費地を抱えるだけに、今後の黄羽肉鶏の飼育拡大が期待さ
れている。


生産拡大のカギは農民の育成

 一方で、今後、北方地域での黄羽肉鶏生産拡大のカギを握るものとして、生産
の基幹となる末端農民の育成を挙げている。個人農家では、マーケット情報の分
析、生産規模やリスク対処といった能力の点で大きな制約を受けるだけに、農民
と企業との連携や地域社会での組織化による大規模な経営形態の構築、また、運
営強化を図ることを強く求めている。同時に、国内の家きん肉製品市場が比較的
遅れていることを考慮に入れ、関連加工機材の導入とさまざまなタイプの製品を
開発することが、消費者の需要を満たし、黄羽肉鶏の生産拡大を側面から支える
としている。

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