米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○前年割れが続くフィードロット飼養頭数



● ● ● 9月1日現在では、前年同月比6.7%減 ● ● ●

 米農務省(USDA)によると、2002年9月1日現在の1,000頭規模以上のフィードロ
ットでの飼養頭数は、前年同月比6.7%減の1,013万頭となった。このところ、肉
牛は安価な飼料穀物を利用して、フィードロットでより長期間肥育される傾向が
続いていたが、最近では中西部を中心とした干ばつの影響で、飼料穀物価格も値
上がりしており、肥育期間を短縮し、より軽い重量で早期に出荷する動きも出始
めていると見られる。こうしたことから出荷頭数が増加しており、フィードロッ
ト飼養頭数は、2002年5月以降前年を下回って推移している。(図1参照)

◇図:フィードロットにおける牛の搬出入◇


● ● ● 飼料事情がフィードロット導入を左右 ● ● ●

 USDAが10月7日に公表した作物生育状況報告によれば、牧草の生育状況は、「極
めて悪い(Very Poor)」が22%、「悪い(Poor)」が23%となっており、前年同
期(それぞれ、10%、21%)と比べるとその生育状況は悪いものの、9月半ば以降
回復に向かっている。干ばつによる収穫減からトウモロコシ価格が上昇傾向にあ
るため、今後は、牧草の生育状況が秋以降のフィードロット導入のカギとなるも
のと見られる。牧草事情が改善されれば、放牧期間は長くなり、フィードロット
への導入は減少する。この場合、フィードロットからの出荷は2003年まで、前年
水準を下回って推移するものと見込まれている。

◇図:枝肉重量の推移◇


● ● ● 低下が続く肥育牛価格 ● ● ●

 一方、肥育牛価格(去勢牛、チョイス級、生体重量1,100〜1,300ポンド(約500
〜590キログラム)、ネブラスカ州)は、2001年10月以降下落傾向で推移し、9月
は前年同月比6.0%安の100ポンド当たり65.0ドル(1キログラム当たり約178円:
1ドル=124円、以下同じ)と引き続き弱含みで推移している。

 今後の見通しについて、USDAでは、第4四半期の生産量を前年同期比0.7%減、
通年を同3.5%増と見込んでいる。肥育牛価格は、第4四半期には前年同期比4.4〜
10.5%高の68〜72ドル(186〜197円)と値上がりが見込まれるものの、通年では
前年比6.5〜7.9%安の67〜68ドル(183〜186円)と予測されている。



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