◇絵でみる需給動向◇
タイ農業協同組合省が公表した2002年上半期のブロイラー生産費は、前年同期 を6.6%上回るの1羽当り50.9バーツ(約148円:1バーツ=2.9円)となった。しか し、月ごとに見ると、今年1〜4月の間は50バーツ以上の高水準を維持していたも のの、5月以降はほぼ1年振りに前年同月を下回っている。 2001年の生産費(50.4バーツ:約146円)は、その中で大きな比重を占める飼料 費およびひな費が通年にわたって上昇傾向で推移したことから、3年振りに前年を 上回った。2002年の生産費も、上半期の平均では前年同期より高水準にあるが、 今後の動向によっては通年で前年を下回る可能性もある。 ブロイラーの生産費 (単位:バーツ、%) 資料:タイ農業協同組合省
このように生産費が5月以降前年同月を下回っている要因としては、生産費の約 2割を占めるひな費が、最近、急速に下落していることが挙げられる。2001年のひ な価格は、鶏肉輸出の増大によるひな需要の高まりからおおむね上昇傾向で推移 した。しかし、ブロイラーの生産量が減少する中で、ひな需要は大きく減退して おり、2002年6月のひな価格は、今年の最高値となった2月と比較して41.3%安の 1羽当り6.9バーツ(約20円)と大幅に下落している。一方、生産費の約7割を占め る飼料費は、昨年中盤以降、ほぼ一定の高水準で推移していることから、最近の 生産費の低下は、ひな価格の下落が主因と考えられる。 ◇図:ひな価格の推移◇ ◇図:飼料費の推移◇
一方、農家販売価格および生産費から計算した農家収益は減収に転じている。 ブロイラー生産農家は2001年、世界的な鶏肉需要の増大で輸出が急増したことに より、農家販売価格が堅調に推移したことから、通年で利益を確保した。しかし、 2002年に入ると、輸出需要が減退したことによる販売価格の伸び悩みから、4月以 降は3カ月連続して販売価格が生産費を割り込む状況が生じている。ブロイラー業 界では、今後、輸出需要がさらに冷え込むとみられていることから、現在の生産 費の低下傾向は、農家収益の減少を緩和する方向に作用するものと考えられる。 ◇図:農家収益◇
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