◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2002年1〜9月のブロイラー生産量(可食 処理ベース)は、前年同期比4.0%増の1,099万5千トンとなった。ま た、2002年通年では、ふ化羽数、1羽当たりのと体重量がいずれも増 加し、前年比3.3%増の1,465万トンになると見込まれている。 また、輸出量について見ると、最大の輸出先であるロシア向け輸出 の停止や日本、香港向けの断続的な輸出規制が大きく影響し、2002年 1〜7月では前年同期比19.0%減の124万3千トンとなった。通年での見 通しは、上期に減少した香港や日本向けがどの程度伸びるかによるが、 前年比12.4%減の220万8千トンとしている。 一方、生産量の増加および輸出量の減少で国内向けの供給が増加し たことにより、価格が下落したため、一人当たりの消費量が伸びてい る。2002年第3四半期は、前年同期比4.6%増の9.3キログラムとなり、 年間では前年比4.8%増の36.4キログラムと見込まれている。
こうした状況を受けて、ブロイラー卸売価格(12都市平均丸どり価 格)は、2002年2月以降前年同月を下回って推移しており、9月は前年 同月比8.8%安の1ポンド当たり56.5セント(1キログラム当たり約154 円:1ドル=124円、以下同じ)となった。2002年通年でも、55〜56セ ント(150〜153円)と前年水準を5〜7%下回ると見込まれている。 部位別では、主要な輸出品目であるもも肉が引き続き、前年同月を 大幅に下回る水準で推移しており、9月の卸売価格(ホール、北東部) は、前年同月比30.5%安の33.1セント(約90円)となった。
ブロイラー経営は、84年以降一貫しての黒字を維持し、良好な経営 状態を維持してきた。しかし、最近のこのように低調な卸売価格を受 け、ブロイラー生産で得られる収益(丸どり1ポンド当たり:可食処理 ベース)は落ち込んでおり、4月には、前年同期月比41.4%安の6.7セン ト(約18円)と98年2月(5.3セント)に次いで低いものとなった。4月 以降は、さらに中西部を中心とした干ばつの影響により、生産コスト の6割を占める飼料コストが上昇していることなどから、前年同月を 40%近く下回る月も出ている。今後は穀物価格の上昇に加え、原油価 格の値上がりを予想する声もあり、さらなる収益の悪化が懸念される。 ◇図:ブロイラーの生産コストおよび純収益◇
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