◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が9月に公表した予測によれば、2002/03年度(10月〜翌年9月 )における世界の飼料穀物生産量は、前年度比2.5%減の8億6,133万トンと見込ま れており、前回予測(8月)から約3百万トン下方修正された。
EUの飼料穀物生産量は、前年度比0.9%減の1億475万トンと予想されており、前 回予測との比較では約336万トン下方修正された。その要因として、ドイツなどの 北ヨーロッパにおいて、大雨が降った影響で、大麦やライ麦に被害があったこと、 スペインでの大麦収穫量が、当初の予想を下回ることが判明したことなどが挙げ られている。
米国については、干ばつの影響により、前年度比7.5%減の2億4,227万トンと予 想されており、前回予測から約83万トンの下方修正となった。米国は前回の予測 時に、実際の生育状況に基づく単位当たり収量の減少見込みを考慮して、約2,80 0万トンもの大幅な下方修正を行ったが、今回は比較的小幅なものにとどまった。 一方、カナダについても、ここ数十年間で最悪と言われる干ばつに見舞われて いることなどから、生産量は前年度比11.6%減の1,982万トンで、92/93年度以降 最も低い水準になるものと予想されている。前回予測との比較では、約365万トン の下方修正となった。
豪州についても、干ばつの影響により、前年度比14.4%減の953万トンと見込ま れている。前回予測からは、100万トンの引き下げとなっているが、これは特にニ ュー・サウス・ウェールズ州などでの干ばつ被害により、大麦が大きな影響を受 けるとみられるためである。ただし、時期的に、十分な降雨さえあれば、生産が 回復することは十分に可能であるとUSDAはコメントしている。
一方、アルゼンチンやウクライナは前回予測よりも、それぞれ150万トンずつ上 方修正され、生産量は1,627万トンおよび1,605万トンと予想されている。アルゼ ンチンの場合、トウモロコシ価格の値上がりに伴う作付面積の増加や施肥量の増 加などが見込まれるためである。また、ウクライナについては、天候に恵まれた ことにより、単位当たり収量が当初の予想を上回ったことなどが、その要因とし て挙げられている。ただし、両国とも前年度との比較では、それぞれ11.4%およ び5.4%減少することが予想されている。 なお、前回予測から変更はないものの、前年度を上回る国としては、中国(前 年度比9.0%増の1億3,340万トン)やブラジル(前年度比4.1%増の3,816万トン) などがある。 主要国の飼料穀物生産予測(2002/03年度) (単位:千トン、%) 資料:USDA/FAS
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