◇絵でみる需給動向◇
チーズの卸売価格が低迷している。米農務省(USDA)によると、チェダーチー ズの卸売価格(ウィスコンシン地区のFOB価格)は、2000年11月を底にその後上昇 の一途をたどり、2001年9月には1ポンド当たり173.9セント(1キログラム当たり 475円:1ドル=124円、以下同じ)を記録した。しかし、10月以降は下落に転じ、 2002年2月から前年同月割れで推移、7月には前年同月比35.4%安の108.9セント (298円)と2000年11月以来の最安値を記録した。9月は119.5セント(327円)で 前年同月比のマイナス幅は縮小したものの、依然前年水準を大幅に下回っている (同31.3%安) ◇図:チーズの卸売価格◇
価格低迷の要因として、需要の低迷が挙げられる。多くの牛乳・乳製品の国内 需要が停滞している中、特にチーズの落ち込みが顕著とされている。通常であれ ばチーズは、レストラン等での食材に使用されることが多いバターに比べ、景気 の低迷時においても、ファストフードなど低価格メニュー向けにも使われること から引き合いは強いと言われている。しかしながら、今年は、消費者の食生活が 一層堅実になってきたことから、特にピザの消費が落ち込んだとされ、その落ち 込みを反映したものと見られる。また、今後ピザの消費が回復しなければ、チー ズ全般の需要回復もさらに遅れるものと見込まれている。
USDAによると、2002年1〜8月のチーズ生産量は、251万トンと前年同期を2.0% 上回った。 生乳の5割近くが仕向けられるチーズ生産は、2001年11月からおおむね前年を上 回って推移していることから、在庫量は例年に比べ高水準で推移しており、2002 年8月は前年同月を10.9%上回る36万3千トンとなっている。需要が低迷している 中で在庫の積み増しが進んだことで、価格の低迷に拍車をかけたものとみられる。 USDAは今後、小売価格の低下により、家計消費は回復するが、商業ベースでの 消費の急速な増加は見込めないとしている。 ◇図:チーズの生産量(増減率)◇ ◇図:チーズの在庫量の推移◇
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