アルゼンチンとブラジル、対中国輸出の拡大に期待
ブラジルとアルゼンチンは、中国国家総合品質管理検疫検査局のLi Changjiang
氏が率いる調査団訪問時にそれぞれ畜産物などの中国向け輸出拡大につながる協
定の締結を行った。これらの動きを中心に両国における動向は以下の通りとなっ
ている。
アルゼンチン
アルゼンチン経済省および農牧水産食糧庁(SAGPyA)は、8月16日、中国との二
国間衛生協定を締結し、乳製品と鶏肉の中国への輸出が可能になったことを発表
した。同協定はレベドSAGPyA長官とLi Chiangjiang氏との間で調印された。経済
省によれば、この協定は2000年3月に交わされた市場アクセスに係る二国間協定が
進展したものである。
2001年のアルゼンチンの中国向け畜産物の輸出額は、鶏の副産物(モミジ:鶏
の足の部分)が570万ドル(約5億4千万円:1ドル=124円)となっているが、鶏肉
の輸出実績はない。アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)のカネ総裁は、
今後も引き続き、生鮮果実、タバコ、牛肉、羊肉等について、輸出に向けた技術
的な交渉を続けて行くとしている。
また、SENASAは8月30日、「国際獣疫事務局(OIE)が去る5月にアルゼンチンの
南緯42度以南を口蹄疫ワクチン不接種清浄地域と宣言したことを根拠に、中国が
同地域の牛、羊、牛と羊の骨付き肉の輸入制限を緩和した。」と発表した。この
措置は、中国調査団がOIEによる同認定を今回の訪問で知ったことによる。
ちなみに、今回の交渉で中国からは、生鮮豚肉の輸入が可能となったが、豚の
副産物については継続して交渉されることになった。
ブラジル
ブラジルのプラチニデモラエス農相は、8月9日、Li Chiangjiang氏と農産物等
に係る衛生条件の同等化の実現に向けた合意書に署名した。同農相は、「ブラジ
ルは世界で最も大きい市場の一つである中国市場の開放にこぎつけた。今後は、
中国の規定に基づいた衛生基準を確立することになり、その次のステップ、つま
り貿易の開始はブラジル企業の行動次第である。」と語った。
署名された合意書により、ブラジルの口蹄疫ワクチン接種清浄地域の牛肉等が、
衛生基準の確立後に、中国市場に輸出されることになる。中国側としてはブラジ
ルに対し、ニンニク、果実、魚介類等の輸出拡大を望んでいる。
○アルゼンチン産農産物等の対中国貿易
(単位:トン)
資料:アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)
注:農産物の中に、木材を含む。
○ブラジル産農産物等の対中国貿易
(単位:トン)
資料:ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)
注 1:皮革加工品、飲料水、木材および加工品を除外している。
注 2:水産物が「農産物」、「畜産物」の中に、それぞれ「海草類」、「甲殻類」として含まれている。
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