2002年の農業粗生産額は大幅増加の見込み ● ブラジル
全国農業連盟(CNA)によると、2002年におけるブラジルの農業粗生産額は、約
1,035億レアル(約3兆4,155億円:1レアル=約33円)で前年比9.7%増とかなりの
増加が見込まれる。部門別に見ると、作物部門(主要20品目)が15.0%増とかな
りの増加が見込まれる一方、畜産部門(主要5品目)は2.5%増と小幅な増加にと
どまる見込みである。なお、この予測は、2002年の生産見込み数量に同年上半期
(1〜6月)の生産物平均価格を乗じて算定されたものである。
部門別の概要は、次の通りである。
作物部門は、前年比15.0%増の見込み
作物部門は、前年比15.0%増の約625億レアル(約2兆625億円)、全体に占める
同部門の割合は、前年を2.7ポイント上回る60.3%と見込まれる。今回の算定に用
いられた生産数量は、小麦などの冬期作物を除き収穫がほぼ終了していることか
ら、実績に近い数値である。
品目別に見ると、大豆は前年比28.6%増となり、同部門全体の約4分の1を占め
ると見込まれる。CNAでは、この大幅な増加要因として、今年の大豆収穫量が過去
最大の4,112万トンと見込まれることに加え、国際相場の上昇、自国通貨の下落に
より生産物のレアル建て価格が上昇したことを挙げている。
また、トウモロコシは、第1期作(夏作)の作付けにおいて大豆への転換が進ん
だことや、第2期作(冬作)における干ばつの被害により、今年の収穫量が前年比
13.3%減の3,602万トンと見込まれる一方、需給がひっ迫したため、同年上半期の
生産物価格が前年同期比31.3%高となり、結果として、通年での粗生産額は12.4
%高と見込まれる。
また、これらのほか、コメ、コーヒー、フェイジョン豆、小麦などが前年を上
回ると見込まれる一方、綿花、ジャガイモ、バナナなどでは減少が見込まれる。
畜産部門は、前年比2.5%増
畜産部門は、前年比2.5%増の約411億レアル(約1兆3,563億円)と小幅な増加
が見込まれる。
品目別に見ると、生産見込み数量は、牛肉が3.6%増の715万トン、鶏肉が11.3
%増の750万トン、豚肉が6.6%増の236万トン、生乳が2.0%増の211億リットル、
鶏卵が7.2%増の13億6,425万ダースと、5品目すべてが前年を上回っているが、生
産物価格は、前年並みとなった鶏肉を除く4品目が前年を下回ったことから、同部
門の粗生産額は前年に比べて小幅な増加見込みとなっている。
養豚部門では、昨年の大幅な輸出増が今年も継続するとの見方から、生産への
投資が積極的に行われたものの、生産の増加に対し輸出が伸びず、国内消費も伸
び悩んでいることから、供給過剰を招いている。こうした中、今年3月以降、生産
物価格が大幅に下落していることに加え、トウモロコシや大豆カスなど飼料原料
の価格上昇により生産コストが大幅に増加したことから、経営体の収益性は著し
く悪化している。同国の主要豚肉生産地域であり、小規模経営体の割合が比較的
高いとされる南部の生産者の間では、大規模な民間投資を背景とした中西部にお
ける豚肉生産の拡大が供給過剰の一因であるとした上で、これらの投資に政府融
資が活用されているとし、政府に対し何らかの是正を求める抗議活動が活発化し
ている。
ブラジルの農業粗生産額
(単位:百万レアル、%)
資料 : 全国農業連盟(CNA)
注:1レアル=約33円
元のページに戻る