◇絵でみる需給動向◇
豪州農林漁業省(AFFA)の統計資料によると、2001/02年度(7〜6月)の牛肉輸 出量(船積み重量ベース)は、過去最高であった昨年度と比べ5.9%減の90万1,8 72トンとなった。 2001/02年度の輸出量を相手国別に見ると、米国向けは、前年度比3.9%増の40 万3,190トンとなり、輸出量全体に占めるシェアは、前年度から4.2ポイント増加 し44.7%となった。対米輸出は、2001年は1年を通じて、米国での生産減に伴う豪 州産牛肉に対する需要の強さや豪ドル安を背景に好調であり、WTO合意に基づく米 国向け輸出枠378,214トン(低い関税率での輸入が可能な関税割当の1次税率枠) を初めて超過する状況となった。2002年に入り、その輸出枠の超過を回避しよう とする慎重な動きから、低調なスタートとなったが、ここ数ヵ月の乾燥気候で牛 が早期に出荷され、供給が増加したことや、日本向けが低迷していることを反映 し、上半期においても前年同期を上回った。 米国に次ぐ輸出先である日本向けは、前年度比27.5%減の24万3,438トンとなり、 全体の数量で前年度を下回る主因となった。なお、輸出量全体に占めるシェアは、 前年度から8.1ポイント減少し27.0%となった。昨年9月に確認された牛海綿状脳 症(BSE)の影響による日本市場の落ち込みが極めて大きかったものと考えられる。
その他の主要な輸出相手国として、韓国向けは、前年度比25.4%増の7万1,140 トンとなり、輸出量全体に占めるシェアは、前年度から2ポイント増加し7.9%と なった。これは、豪州の食肉関係団体による消費促進活動で、冷蔵牛肉の輸出が 大きく拡大したことによるものと思われる。 また、カナダ向けも、前年度比41.6%増の6万6,556トンと大きく上回り、輸出 量全体に占めるシェアは前年度から2.5ポイント増加し7.4%となった。これは、 日本用にカットされた牛肉がカナダへ仕向けられたことや、南米での口蹄疫によ る牛肉の輸出停止が影響したものと思われる。 ◇図:年度別国別牛肉輸出量の推移◇
2001/02年度での輸出量は、減少することとなったが、豪州統計局(ABS)によ ると、牛肉の輸出額(FOB価格)は、前年度比5.0%増の43億1,400万豪ドル(約3 ,019億8,000万円:1豪ドル=70円)と過去最高の額となった。この背景としては、 豪ドル安と、当該年度においてここ数ヵ月を除き牛肉の輸出価格が値上がりした ことによるものと考えられる。米国向けが、国別輸出量と同様に強い需要により、 最大の額となっている。 ◇図:牛肉輸出額の推移◇
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