タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○ブロイラーの卸売価格が急落




● ● ● 卸売価格、2年前を下回る水準に ● ● ●

 ブロイラーの卸売価格が大きく下落している。タイ商務省が公表し
た2002年5月の卸売価格(バンコク市場の生体価格、1kg当たり)は、
前年同月比27.0%安の23.6バーツ(約68円:1バーツ=2.9円)と前月
に引き続き前年同月を下回った。

 ブロイラーの卸売価格は、世界的な鶏肉需要の増加を背景に、2001
年4月以降は前年を上回って推移していた。しかし、同年7月をピーク
に下落傾向が強まり、2002年4月には遂に昨年を下回った。卸売価格
がこうした下降局面を迎えている背景として、近年は好調を維持して
いた輸出にブレーキが掛かりつつあることが挙げられる。タイブロイ
ラー加工輸出協会が公表した今年1〜4月の鶏肉輸出量は、前年同期比
6.2%増の13万2千トンとなったものの、大きく躍進した前年同期と比
較すると、伸び率は34ポイントもの低下となっている。


● ● ● 生産減で下落に歯止めがかかる可能性も ● ● ●

 このような卸売価格の低迷傾向はしばらく続くとみられるものの、
今後のブロイラーの生産動向によっては歯止めがかかる可能性もある。
2001年には増加傾向であったひなのふ化羽数は、前年同月を上回って
いるものの、10月をピークに減少する傾向にあり、これに伴い2000年
以降は増加基調にあったブロイラー生産も、10月をピークに推移して
いる。また、前述のとおり、最近では輸出の伸び悩みが見られるなど、
生産の減少につながる動きが強まっている。

◇図:ひな孵化羽数の推移◇


● ● ● 小売価格も伸び率が鈍化 ● ● ●

 ブロイラー卸売価格の急落に伴い、小売価格も3月以降は下落の傾
向にある。2002年5月のバンコク市場における小売価格は、前年同月
比9.9%高の1kg当り52.5バーツ(約152円)と前年を上回っているも
のの、近年の最高値となった今年2月(56.5バーツ)と比較すると7.
1%下落している。

 99年の中盤以降、ブロイラーの供給が増加する中で一貫して低下を
続けた小売価格は、海外需要の増大を受けた卸売価格の急騰で、昨年
6月には約2年振りに前年を上回った。それ以降は11ヵ月連続で前年よ
り高い水準を維持しているが、卸売価格が一層下落した場合は再び前
年を割り込む可能性もある。

◇図:ブロイラー小売価格の推移◇



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