◇絵でみる需給動向◇
イツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2001年のEUの域外向けチーズ輸出 量は、前年よりも1万トン(2.1%)多い46万6千トンとなった。最大の輸出先であ ったロシア向けが経済不況で輸出量が大幅に減少した99年と比較すると、7万トン の増加となっている。2000年のチーズ輸出量も前年比14.8%増であったことから、 2年連続で増加することとなったものの、年間輸出量が50万トンを超えていた90年 代中頃の水準には達していない。 ◇図:EUの域外チーズ輸出量の推移◇
2001年におけるEUのチーズ輸出量を相手国別に見ると、米国が約10万トン、次 いでロシアが約 6万トンとなった。 98年以降、米国は、EUのチーズ輸出における最大の輸出市場となっており、EU は年間10万トン前後を輸出している。2001年は、米国では、チーズ生産が減少す る中で、チーズ消費が比較的好調であったことに加え、メキシコなどへの輸出も 増加したことから、米国内のチーズ需給はタイトとなった。このことから、高品 質なEU産チーズに対する需要が高まった。 ロシア向けについては、97年には15万トンを超える最大の輸出先であった。99 年にはロシアの経済危機と、ガット・ウルグアイラウンド(UR)合意に基づく補 助金付きチーズ輸出の削減などにより、2万9千トンにまで減少した。2001年には 約6万トンにまで回復したが、将来的には、97年の水準にまで増加することが見込 まれる。 また、日本もEUにとって比較的大きな輸出先となっており、2001年には約5万ト ンを輸出した。その他、メキシコを中心とした南米地域やサウジアラビアなどを 中心とした中東地域などへも輸出が行われている。
2002年第1四半期のチーズ輸出は、前年同期比7%増の約11万トンとなっている。 2002年に入り、チーズの輸出補助金は5月に15%、7月にはさらに7%(米国向け は11%)引き上げられた。これらの輸出補助金引き上げの背景には、域内外の乳 製品市場の停滞や米ドルに対するユーロ高などがある。2001年8月から続いている 域内チーズ価格の下落と輸出補助金の引き上げにより、安価なオセアニア産チー ズとの価格差が狭まることから、今後のさらなる輸出増加につながると考えられ る。 ◇図:EUのチーズ輸出補助金と域内価格の推移◇
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