◇絵でみる需給動向◇
日本では2002年度第1四半期(4〜6月)の豚肉等の輸入量(部分肉ベース)が発 動基準数量である20万7,038トンを超える21万8,151トンとなったことから、昨年 に引き続き、8月1日から来年3月31日まで関税の緊急措置が発動されることとなっ た。 米農務省(USDA)では、緊急措置の発動による影響を受けやすいのは、過去の 発動時と同様に輸入冷凍豚肉であって、輸入冷蔵豚肉については、それほど大幅 な需要の減退はないとみている。このため、冷蔵豚肉が日本向け輸出の5割以上の 米国は、輸入冷凍豚肉が大半を占めるデンマークなどの輸出国に比べると、その影 響は小さいものとしている。
2001年の豚肉輸出は、最大の輸出先である日本で関税の緊急措置が発動されて いたにもかかわらず、前年を20%以上も上回る70万7千トンと、過去最高を記録し た。しかし、2002年については、状況が変化し、前年の対日輸出量は達成できな いであろうと、USDAは予測している。その要因としては、関税の緊急措置の発動 以外に次のことが挙げられている。 @ 昨年の日本における牛海綿状脳症(BSE)発生以降、消費者の需要が牛肉 から、他の食肉、特に豚肉に移ったが、このところ牛肉需要が従来の水準 に向けて徐々に回復していること。 A 国産豚肉価格が低下しているため、輸入冷蔵豚肉の競争力が弱まっている こと。 B 昨年はEU産豚肉が、口蹄疫問題で一時的に輸入停止となっていたが、その 後再開されたことでEU産との競争が再燃していること。 C EUが、昨年米国によって奪われた市場シェアを回復するための取組みを行 っていること。 なお、米国の2002年1〜5月における対日輸出量(枝肉重量ベース)は、前年 比3.9%減の15万3千トンとなっている。 ◇図:日本向け豚肉輸出量の推移◇
他の輸出先についてみると(2002年1〜5月)、第2位のメキシコ向けは、前年同 期比0.6%減の6万トン、また、第3位であるカナダ向けは、同7.4%増の3万9千ト ンとなった。一方、ロシア向けは、価格の安いブラジル産や中国産との競合から 62.1%減の7千トンと大幅に前年同期を下回った。 2002年通年の全輸出量についてUSDAでは、主要輸出先国での景気の減速などか ら、前年比5.8%減の66万8千トンと予測している。
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