EU委、イギリス産牛肉に対する輸入禁止措置でフランスの再提訴を決定




EU委員会、フランスのEU司法裁の裁定受け入れ拒否に対し1日当たり1,900万円の罰金を要求

 フランスは、牛海綿状脳症(BSE)への懸念から、イギリスからの牛肉輸入の禁
止措置を取り続けている。昨年12月には、当該輸入禁止措置が違法であるとEU司
法裁判所が裁定したが、フランスはこれを受け入れなかった。これに関してEU委
員会は7月17日、フランスがイギリス産牛肉の輸入禁止措置を解除しなければ、E
U司法裁判所に対し、2度目の訴えを行うこと、1日当たり158,250ユーロ(約1,90
0万円:1ユーロ=121円)の罰金支払いを要求することを決定した。

 EUのデビッドバーン保健・消費者保護担当委員は、メンバー国がEU司法裁判所
の裁定に従わないことは問題であり、罰金の水準は、このEU規則に反するという
非常に重要な事態を反映したものであると語っている。一方で、同委員は、フラ
ンス政府が違反措置を撤回することへの期待も示している。

 EU委員会は、可能な限り早期に裁定するようEU司法裁判所に要求しているが、
その審議には数ヵ月かかるものとみられる。また、最終的な罰金の水準はEU司法
裁判所の判断に任されている。


イギリスの政府等はこれを歓迎、フランス政府は食品安全庁の新たな見解待ちとコメント

 イギリス政府は、イギリス牛肉産業にとって強力な後押しであるとして、EU委
員会の決定を歓迎するコメントを発表している。また、イギリスの農業団体は、
膨大な額の罰金という経済的圧力により、フランス政府が正気に戻ることだけを
望んでいるとのコメントを発表している。

 フランス政府は、EU委員会からの通告に対し、イギリス産の牛肉の輸入を解除
するためにはフランス食品安全庁(AFSSA)の新たな見解を待たねばならず、9月
までにはその準備ができないと語っている。


EUの食品流通常設委、イギリス産牛肉等の輸出の円滑化などで合意

 他方、EUの食品流通に関する常設委員会は同日、イギリス産牛肉および子牛肉
の輸出の円滑化、牛受精卵の輸出禁止措置解除のための規則の修正に合意した。

合意の内容は次のとおり。

 @認定と畜施設においては、生年月日に基づく輸出措置(DBES)に基づいた輸
  出向けの牛のみがと畜されていたが、今後は、イギリス国内向け牛肉の処理
  とEU加盟国への輸出向けの処理の間に施設の消毒・清掃を行えばよいことと
  なる。

 A従来は、骨なし肉のみが輸出可能であったが、今後は、6〜9ヵ月齢の子牛肉
  については、輸入国からの要求により一定の条件の下、枝肉での輸出も可能
  となる。

 B牛の受精卵の輸出禁止措置については、輸出相手国からの要望がある場合は
  解除される。



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