インドネシアで実施される酪農振興策




小規模酪農家における飼養頭数増加を目的に酪農発展基金を設立

 インドネシア政府はこのほど、年末までに370億ルピア(約5億2千万円:100ル
ピア=1.4円)を投じて、小規模酪農家の乳牛増頭を目的に酪農発展基金を創設す
ると発表した。これは、政府が優先課題の1つとして掲げる畜産業を底辺で支える
小規模農家への支援プログラムであると同時に、酪農業における生産力の底上げ
を狙ったもので、急がれる同国の酪農業の基盤整備に資する事業として期待が寄
せられている。

 インドネシアの酪農における問題点の1つは、優良繁殖牛の慢性的な不足や酪農
技術教育が充実していないことなどで酪農経営の規模拡大が進まないことにあり、
酪農家1戸当たりの平均飼養頭数は約3頭に過ぎない。政府によると、酪農発展基
金事業に参加する農家は、所属する酪農協同組合を通して6〜10頭の乳牛を導入で
きるとしている。また、事業の一環として、インドネシア酪農協同組合連合(GK
SI)により、散在する小規模酪農家の乳牛を地域ごとに集約し、各地に酪農セン
ターを作るプログラムも進行している。このセンターは搾乳の効率を向上させる
だけではなく、将来的には乳製品工場を併設することとしてそれぞれの地域に根
ざした酪農・乳業の育成をにらんだものとなっている。政府は、従来型の補助事
業が小規模農家や新生酪農ビジネスの発展にほとんど寄与してこなかったことを
認めた上で、新たな事業によって底辺の担い手たちを国レベルの酪農振興システ
ムの中に統合していくことの重要性を強調している。なお、GKSIは、こうした地
域酪農のインテグレーションの試みを、酪農家が多く分布する西ジャワ州から始
めたいとしている。


飼料確保や学乳事業への取り組みも

 また、GKSIは、不足する飼料や乳牛飼養地確保の観点から国と連携し、国有森
林やプランテーションを有効に利用する方策にも取り組み始めた。すでに、国の
機関である森林公社と土地の賃貸借契約を交わした酪農家も各地に現れており、
生産された飼料の収益の一部はGKSIにプールされ、新たな酪農振興に仕向けられ
るという。

 一方、インドネシアでは99年以降、米国の援助で学校給食用牛乳の事業を行っ
ている。また、米国はこのほど、インドネシアに対し、国家牛乳計画の対象とな
る貧困家庭用に粉乳類3千トンの無償援助を行った。これらの援助は、将来的にも
インドネシアの牛乳・乳製品需要の拡大につながるものであることから、同国の
酪農業の発展にとって、政府の各種施策と同様に欠かせないものとなっている。


生乳生産量、牛乳・乳製品消費量とも過去最高を記録

 インドネシアでは従来、牛乳を飲む習慣は一般的でなかったものの、インドミ
ルク社をはじめとする地元乳業会社の創設やネスレ社の進出などにより、商業ベ
ースでの乳業の規模が拡大したことから乳牛の飼養頭数は増加傾向にある。2000
年の乳牛の飼養頭数は35万4千頭で、95年と比較すると3.8%増加している。肉牛
が▲4.6%(1,100万8千頭)、豚が▲30.6%(535万7千頭)、山羊・羊が▲1.7%
(1,998万3千頭)、ブロイラーが▲23.0%(5億3,087万羽)と他の畜種がいずれ
も5年前より減少している中にあって、酪農部門が堅実に成長している様子がうか
がえる。一方、2000年の生乳生産量は、49万6千トンと経済危機以前の水準を上回
り史上最高を記録した。同年の1人当たりの牛乳・乳製品消費量(生乳換算)は、
フィリピン(15.7kg)、タイ(19.5kg)、マレーシア(33.2kg)といった他のア
セアン主要国との比較では低い水準にあるものの、6.5kgと過去最高を記録してい
る。



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