中国飼料業界のWTO加盟後の対応戦略




現在の飼料業界の現状…生産拡大、競争激化、安全性の要求増など

 最近の中国の飼料業界をめぐる特徴的なポイントとして、主に次の点が挙げら
れる。

 1.生産が拡大し、価格が低下することにより、飼料会社の利益確保がより困難
    となる傾向にあること。
    
 2.飼料製品の値引き合戦、取次販売店の争奪戦など、販売競争が激化している
    こと。

 3.食肉製品の安全性がより重要となる中、家畜に給与される飼料についても安
    全性に関する要求が強まっていること。

 4.よりきめ細やかな対応により地域市場に専念する飼料会社と、国際市場も含
    むより広範な市場を志向するものとの二極化が進行していること。

 5.国際的な飼料会社と比べると、依然として大きな格差を抱えるものの、徐々
    に大規模化、近代化された企業が現れてきていること。


WTO加盟後には、市場の特定、製品の差別化、垂直統合などの対応が必要に

 こうした状況も踏まえ、先般農業部の監修する情報誌上では、WTO加盟により、
さらに競争激化が見込まれる飼料業界における飼料企業の対応戦略が掲載された。
その主なものは次のとおりである。

 1.自らの優位性を明確に認識した上で、ターゲットとする顧客、市場を特定し、
    これらに合わせた製造や販売などに関する戦略を練り、これを実行すること。
    
 2.畜産農家の飼養規模に応じた営業活動の展開や、特定地域の市場への特化な
    どにより、販売ルートの拡充を行うこと。

 3.飼料製品のブランド化により、他社製品との差別化を図り、安定的な顧客を
    確保すること。

 4.飼料会社が川上(穀物生産者)および川下(畜産農家)の経営体と垂直的な
    調整を図り、経営のリスクを低減すること。なお、「計画は全体で、採算は
    個々に」という原則を維持すること。

 5.飼料生産コストに占める飼料原料の占める割合は8割から9割に達することか
    ら、これをいかに引き下げるかということが重要となる。飼料原料を購入す
    る際は、入札などを実施するほか、より廉価な原料の開発または調達を行う
    ことも必要である。

 6.上記の戦略の実施主体となり、競争力のある飼料業界を支えられる人材の育
    成を図るため、飼料会社、取次販売店および畜産農家のそれぞれに必須かつ
    効果的な研修を行うこと。





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