米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○枝肉生産量増加に転じる


● ● ● 枝肉生産量は7カ月ぶりで前年同月を上回る● ● ●

 米農務省(USDA)によると5月の枝肉生産量は前年同月比3.4%増の109万6
千トンと7カ月ぶりで前年同月を上回った。と畜頭数は、3月に5カ月ぶりに前
年同月を上回り、以降、3カ月連続して上回って推移している。(左図参照)


 この増加の要因として、肥育牛価格(去勢チョイス級の1,000〜1,300ポンド、
ネブラスカの相対)の上昇がある。肥育牛価格は2002年11月から6カ月連続前
年同月を上回り、2003年5月は前年同月比21.6%高の100ポンド当たり79.4ド
ル(キログラム当たり206円、1ドル=118円)と大幅な上昇となった。


 また、主要7州のフィードロットにおける飼養頭数は出荷頭数の増加とともに
導入頭数も増加し、5月には13カ月ぶりで前年同月比増減ゼロとなり、今後さら
に増頭が見込まれる。



● ● ● 牛肉価格の動向● ● ●

 USDAの部分肉価格(カットアウトバリュー:各部分肉の卸売価格をプライマ
ルカッツ(大分割)に再構成した卸売指標価格)、チョイス級ロインおよびショ
ートプレートは、それぞれ、肥育牛価格が前年同月比でプラスに転じた4月から
値上がりを始め、6月6日時点でロインは、4月最終週と比較すると15%高の100
ポンド当たり251.8ドル(キログラム当たり655円)、シュートプレートでは同
15%高の100ポンド当たり98.7ドル(キログラム当たり257円)と上昇した。


◇図:部分肉価格、肥育牛価格の推移◇



● ● ● 部分肉価格はカナダでBSEが確認後に上昇● ● ●

 米国政府は5月20日、BSEの確認されたカナダからの牛肉等の輸入禁止措置を
発表した。上記ロインおよびショートプレートの価格について、この措置発表前
の5月16日と発表後の6月6日を比較すると、それぞれ8.1%、9.3%の上昇を
示した。2002年における米国の牛肉輸入量は145万9千トンであり、このうちカ
ナダからの輸入量は49万4千トン、輸入量に占める割合は33.5%となる。この
部分肉価格の上昇は、生産量が前年同月を下回って推移していたところへ、カナ
ダの牛肉等の輸入禁止措置により、米国の牛肉市場の品薄感がさらに広がったも
のと考えられる。


◇図:カナダから米国への牛肉輸入量◇

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