◇絵でみる需給動向◇
タイ大蔵省の統計によるとタイのブロイラー輸出量は、2002年9月以降前年同 月を下回って推移していたが、2003年1月には前年同月比0.3%減と回復し、2 月には同16.1%の増となった。ただし、そのうち日本向けは2002年9月以降前 年を下回って低調に推移している。輸出価格についても同様に2002年2月以降前 年同月を下回って推移し、2003年2月は前年同期比35.1%減のトン当たり5万5 千バーツ(16万1千円:1バーツ=2.93円)と下げ止まっていない。 タイブロイラー加工輸出協会が公表した2003年第1四半期鶏肉輸出量によると、 冷凍鶏肉は前年同期比7.6%増の9万4千トン加となっているのに対し、調製品は 同13.8%増の3万3千トンとなっている。 同協会は2003年の鶏肉輸出量(冷凍鶏肉と調製品の合計)を前年比0.9%減の 46万トン、輸出価額を前年比3.6%増の423億バーツ(約1,239億円)と予測し ており、観測筋によると、調製品への移行により高付加価値化を図り、加塩鶏肉 調整品に対するEUの実質的関税率引き上げ措置に対応してゆくものとされてい る。
国別に見ると、日本向けの輸出量は2001年の後半から2002年1月にかけて一 時ピークを迎え、2002年の2月に急落した後、減少傾向で推移しているため、第 1四半期の輸出量は、冷凍品は前年同期比25.9%減の4万2千トン、調製品は同 9.1%減の1万4千トンとなった。一方、アジア各国への輸出は韓国、中国、マレ ーシア、香港への冷凍鶏肉の輸出の伸びが顕著である一方、調製品輸出は減少し ており、シンガポールへのみ双方の輸出が増加した。シンガポール向けでは合計 76%増の4千トンとなっている。 ◇図:ブロイラー輸出の動向◇
EU向け輸出量は、冷凍鶏肉は前年同期比70.7%増の2万9千トン、調製品は 同49.3%の増の1万6千トンとなった。この増加要因としては、EU向け輸出は 2002年3月から抗菌剤の問題により輸入が規制されたことから前年同期が低水準 であったこと、ドイツへの輸出が急激に回復していることが挙げられ、前年同期 比2.8倍の2万トンとなった。タイ産鶏肉の輸入が回復基調にあったことに加え てオランダで3月に発生した鳥インフルエンザの影響もあると考えられる。冷凍 鶏肉の輸出量が対前年同期比で増となっているのはEUでは他にベルギー向けが あり、その他の国はすべて減少している。 調製品については、オランダ向け以外すべて増加し、イギリスが同41%増の8 千トンとなったのをはじめ、フランスは1千8百トン、前年同期で44倍に増加し ており、ドイツは1千8百トンで3倍となっている。
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