◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が5月14日に公表した2003/04年度(9〜8月)の穀物需 給見通しによれば、世界の生産量は前年度を4,800万トン上回る9億900万トン と過去最高の水準が見込まれる。なお、北半球では作付けが進行中であること、 年度中は平均的な気象状況という前提のもとで予測が行われている。 主要国別に見ると、ロシアでは厳冬の影響から、また中国では、大豆や綿花へ の転換が進んだことなどから生産量が減少する一方、米国のほか、カナダおよび 豪州が前年度の厳しい干ばつによる落ち込みから回復し、生産量は増加すること で、ロシアおよび中国での減少分を上回ると見られている。
一方、消費量は、前年比3%増の9億1,700万トンと見込まれている。日本は 食肉生産の低下から減少が見込まれるものの、カナダ、豪州などでは生産量の増 加から、またブラジル、ロシアなどでは畜産物生産量の増加などから、消費量は 増加すると見られる。これにより、増加の程度は生産量の伸びを下回り、5年連 続で消費量が生産量を上回るものと見られる。この結果、期末在庫量は引き続き 減少が見込まれている。
世界の貿易量は、前年より100万トン増の1億200万トンと見込まれている。 中でも米国および豪州での生産量の増加からソルガムが前年に比べ200万トンの 増加が見込まれている。 トウモロコシについては、カナダでは国内生産の回復から、また日本では食肉 生産の低下から、それぞれ輸入量は減少するとみられる。さらに南アフリカ、ペ ルー、ブラジルなどでもわずかに減少が見込まれている。一方、韓国、ロシア、 イスラエルなどでは増加が見込まれていることから、全体では、前年並みと予想 されている。また、輸出については、トウモロコシ価格の低下から厳しい競合が 見込まれている。この影響を最も強く受けると見られるのがアルゼンチンで、前 年並みの輸出量にとどまるものと見られる中国は、国際価格の低下と国内需給の ひっ迫から政府が輸出補助金を減らすと見られ、前年の1,350万トンから800万 トンへ減少すると予測されている。この減少分は、米国が補うと見られ、米国の 輸出量は前年より500万トン増加し、4,700万トンと2001/02年度と同水準と 見込まれている。
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