◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC)「In Focus 2002」によると、2001/02年度(7〜6月) の粉乳類生産量は、前年度比6.2%増の約50万トン(暫定値)となった。新しい 生産技術の導入や用途の多様化等により生産量は年々増加している。粉乳は、還 元乳の原料のほか、パン、菓子、食肉加工品、補助食材、ベビーフード、アイス クリーム、ヨーグルト、動物用飼料などに使用されている。 内訳をみると過去5年間で、脱脂粉乳(バターミルクパウダー含む。以下同) は13.1%増加しているのに対し、全粉乳は85.8%と大幅に増加している(表)。
また、ADCがこのほど発表した2002年7月〜2003年3月の生乳生産量は、前 年同期比7.2%減となった。同期の乳製品生産量も多くの品目で減少している。粉 乳では、ホエイパウダーが前年同期比15.5%増の7万7千トンとなったが、脱脂 粉乳と全粉乳はそれぞれ18.0%減の19万トン、23.5%減の15万トンとなった(図 1)。 しかし、同期の輸出量を見ると、脱脂粉乳と全粉乳は、前年同期よりもそれぞ れ5.3%、13.0%と増加している。粉乳類のうち脱脂粉乳と全粉乳の輸出は、依 然として増加傾向にあると言える(図2)。 ADC「In Focus 2002」によると、2001/02年度において脱脂粉乳の輸出量全 体の約8割をアジア、約1割を中東およびアフリカが占め、一方、全粉乳は約7 割をアジア、約2割を中東およびアフリカが占めている。2002/03年度も引き続 き、これらアジア、中東、アフリカへの輸出が好調であると思われる。 ◇図1:乳製品の生産量の増減◇ ◇図2:乳製品の輸出量の増減◇
豪州農業資源経済局(ABARE)「Outlook2003」によれば、2003/04年まで 干ばつの影響から乳牛のと畜が進み、このため生乳生産量は減少し、牛乳や乳製 品の生産量も減少すると予測している。粉乳の輸出動向を左右する国際価格につ いては、脱脂粉乳では、EUや米国が脱脂粉乳の輸出補助金を継続すれば、低下さ せる一因となるとし、また全粉乳では還元乳や食品の加工原料として国際的に需 要があり、この状況が続けば上昇も続くと見ている。しかし、世界的に生産量が 増加すれば全粉乳の国際価格は向こう2、3年以上は低迷すると述べている。
元のページに戻る