DEFRA、死亡家畜処分計画の参加申請期限を延長
死亡家畜処分計画の申請期限を延長
イギリス環境・食料・農村地域省(DEFRA)は、死亡家畜の収集・処分に係る
畜産農家の負担を軽減するため、農家からの拠出と政府からの助成金により基金
を設け、その基金で処分を行うことなどを内容とする任意参加の計画を推進して
いる。しかし、この計画への畜産農家の参加申請が、期待に反して少なかったこ
とから、DEFRAは5月15日、申請期限を5月28日まで延長すると公表した。な
お、スコットランドなどでは、この計画がイングランドより遅れて行われる見込
みである。
死亡家畜処分計画の推進状況
この計画は、畜産副産物を原因とする環境汚染や、人間への健康被害や家畜の
疾病のまん延を防止することなどを目的とした「畜産副産物に関するEU規則」
が本年5月1日より施行され、イングランドでは7月初旬から死亡家畜を埋却処
分することができなくなり、承認を受けた施設で焼却処分しなければならなくな
るなど、死亡家畜の収集・処分をより厳格に行わなければならないことに対して、
畜産農家が適切に対応することを支援するためのものである。
DEFRAは、この計画の公表前から、畜産副産物に関するEU規則について、そ
の概要や移行措置についての情報提供にも努めてきた。4月17日には、?@当該計
画の概要と計画の実施による農家負担額の軽減の試算結果、?A死亡家畜の収集・
処分に関するQ&A方式による説明資料、?B計画に参加する意思があるかどうか
の確認票などを内容とする手紙を、イングランドの畜産農家11万1千戸に対して
送付した。また、5月からは、死亡家畜の収集・処分に関する電話相談窓口の設
置等も行っている。
この計画では、畜産農家からの拠出額について、飼養頭数規模により3段階に
区分し、小規模農家(牛飼養頭数20頭未満)の場合1農家当たり年間50ポンド
(約1万円、1ポンド=約200円)、中規模農家(牛飼養頭数20頭以上200頭以
下)の場合同100ポンド(2万円)、大規模農家(牛飼養頭数200頭超)の場合
同200ポンド(4万円)としている。DEFRAの試算によれば、中規模の農家にお
ける死亡家畜の一般的な収集・処分経費が年間185ポンド(3万7千円)であり、
この規模の農家拠出金100ポンド(2万円)と比較すると農家負担負担が約45%
軽減されるとしている。
担当大臣等が積極的参加を呼びかけ
DEFRAは、この計画が収集・処分業者や畜産関係者との議論を踏まえたもので
あり、農家の負担軽減に大きく寄与することなどから畜産農家の多くの参加申請
を期待し、畜産農家からの申請締め切りを5月6日としていた。
今回の申請期限延長の公表に際して、モーリー家畜衛生担当大臣は、「(この
計画については、十分な数の農家の参加がなければ存立できないものであり)農
家の50%の支持がなければ、この計画を進めることはないことを再度強調しなけ
ればならない」と述べている。一方、全国農業者連合(NFU)は、「もし、この
計画が実行できなければ、農家は死亡牛の処理経費すべてを負担しなければなら
なくなる。この計画は農家への手厚い助成である」と、農家の計画への積極的な
参加を呼びかけている。
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