養鶏産業を取り巻く問題 ● インドネシア


ブロイラーの増産を示唆

 インドネシア農業省畜産総局長は4月17日にジャワ島東部スラバヤ市で開催さ
れたインドネシア飼料協会の会合において、ブロイラー増産のため、2003年の初
生ひなの生産目標を前年実績の9億羽から15億羽に増やしたいと述べた。同総局
長は、増産することによって、一時的にブロイラー価格を押し下げ、低所得層の
購買意欲を刺激し、価格が回復した後も引き続き消費拡大が見込めるとしている。
これに対して業界団体からは、増産のためには鶏舎の整備を行わなければならず、
生産者に対する支援を優先するよう求める声があがった。


国内の反米運動の影響

 イラク戦争の養鶏産業への影響は直接的なものは輸入飼料の船積輸送に際する
保険料の上昇とそれに関連する飼料費の上昇が挙げられるが、懸念されていた戦
争による為替レートの変動が顕著に見られなかったこともあり、影響は出ていな
い。むしろ国内で盛り上がる米国とそれを象徴する製品、産業に対するボイコッ
ト運動は、鶏肉消費の20%を占めるとも言われる米国資本のフランチャイズレス
トラン(マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン等)をその標的としている
ため、この間接的影響が今後の国内需給にマイナスの影響を及ぼすとみられてい
る。

飼料増産への期待

 インドネシアはトウモロコシや大豆を始めとする飼料原料の50%以上は米国な
どから輸入しており、国内畜産業、特に養鶏産業は輸入飼料原料に大きく依存し
ている。このような状況を改善するため同国農業省は従来から輸入飼料原料に対
する課税の強化を求めているが、現在のところ他省庁の同意は得られていない。

 同国では、1戸当たりの平均土地所有面積が0.3ヘクタールに過ぎない。トウモ ロコシの収量は1ヘクタール当たり約2.6トンと低いこともあって、農家はより 利益率の高い食用作物や換金作物を栽培する傾向にある。政府は、1ヘクタール当 たり8トンの収穫が得られると言われている生産性の高い一代雑種のトウモロコ シの作付けを奨励しているが、その作付けは全体の1割程度にとどまっている。
 また、同国ではトウモロコシの収穫期が比較的に1〜3月に集中しており、この 時期に年間生産量の6割が収穫されるが、需要は年間を通じてあるため、収穫後 の処理・貯蔵技術の改善が期待される。

輸出にかかる新たなコスト

 政府規則49/2002により2月から輸出検査にかかる費用負担が増額されるこ
ととなり、ブロイラーの場合、輸出業者は鶏肉1キログラムあたり約100ルピア
(100ルピア=1.52円)の負担増を強いられることとなった。これに対し輸出業者
からは輸出品の生産コストを引き上げ、国際競争力を低下させているとして強い
反発の声があがっている。

 同国内で日本にブロイラーを輸出しているのはジャプファ・コンフィード社お よびカーギル・インドネシア社のみで、前者は東ジャワ州に輸出用の直営工場を 構えており、5年前から日本に向けて「スリ・チキン」というブランド名で累計 5,000トンを輸出している。また、2003年は日本から2,750トンの受注を受けて いる。

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